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笑顔で魔力チャージ~無限の魔力で異世界再生  作者: 三木なずな
第六章 プラチナカード+奴隷ブロンズ
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クズを成敗

 リベックの町の中、大急ぎで新しく作った建物。


 魔力を50,000要求してきた『牢屋』。それを二つ作って、戦いで捕縛したマクシムの兵をぶち込んだ。


 その牢屋を視察しつつ、ユーリアから報告を受ける。


「捕縛した兵は全部で274人、ここにいるのは全員軽傷者だから、護衛を多めにつけた」


「逃げ出さない程度に監視すればいい。あとメシはちゃんと食わせとけ、プシニーで腹を膨らませるだけで良いから」


「わかりました」


 ユーリアをつれて牢の中をぐるっと一周した。マクシムの兵だった男達はおれのことを警戒する目で見てる。


 牢に入れられて、これ以上何をされるんだ、って警戒と怯えが両方ある目だ。


 今はどうするつもりもないから、それは放置する。


 その牢を出て、横にある別の牢に入った。


 血の臭いがした。


 さっきの牢も多少はあったが、この牢は一段とつよい。


 おれは眉をひそめた。そこにユーリアが報告した。


「ここにいるのは全員重傷者。何人かは多分危ない」


「全員に万能薬を与えとけ。死なれるのはよくない」


「よくないの?」


「ああ、よくない」


「わかった」


 頷くユーリア、人数分の万能薬を揃えるために早速動き出した。


 牢の外に飛び出している彼女を見送って、ぐるっと牢の中を一周する。


 さっきの牢とおなじ行動だが、こっちの牢にいる兵達の反応は違った。


 重傷を負っているせいか、ほとんど全員救いを求める目をしてる。


 後でユーリアが万能薬を持ってきたら助かるから、おれは見回るだけで何もしないでおいた。


 ふと足を止めた、牢の中に横たわる重傷の男に見覚えがあったからだ。


「ヤン……」


 この前会った、マクシムの降伏勧告を持ってきた男だ。


 そいつは左半身が血まみれでぐったりしてる。


「て、め……」


 意識はあるみたいで、ぐったりしながらもおれの事を睨んで来ている。


 ヤンの事が気になって、おれは牢の中に入った。


 自分用に常備してる万能薬を取り出して、ヤンに飲ませた。


 DORECAの魔法で作った万能薬の効き目は抜群だ。それまで血を流してたのが一気に止まって、苦しそうだったのが一気に治った。


 ヤンは体を起こした。


 自分の手を信じられない様子で見つめ、腕をぐるぐる回す。


 一気に治ったのが信じられない様子だ。


「治ったか? まだどっか痛いところはないか?」


「ねえよ、なんだこれは」


「薬だ」


 それ以上の説明はできないしいらないから、おれはそのまま答えた。


 さて、ヤンにはちょっと聞きたい事がある。


「ふっ、わかってるじゃねえかてめえ」


 それを聞く前に、ヤンは唇をゆがめていってきた。


「わかってる?」


「おう、おれを死なせたらまずいってな。なんだっておれはマクシム様の側近。四天王の一人だ。いわば幹部よ。そのおれが死んだら……てめえやばいところだったぜ」


「……」


 幹部だったのか、こいつ。


「ま、その殊勝さに免じて色々と許してやらあ」


「許す、か」


「それよりもおい、食いもんと酒もってこい。特に酒だ。この街で出せる一番いいのもってこい」


「食べ物は後で運ばせる、酒は無理だ。そもそもない」


 いや本当はあるのかも知れない。


 最近は町が発展してきて、商業活動も活発になってきたからあるのかも知れない。


 だけどおれは持ってない、あるかどうかも把握してない。


「ちっ、しけてんな。こんな町のどこがいいんだが、マクシム様は」


 ヤンは悪態をついた。


 腹が立つな。


 ヤンは立ち上がって、おれが入って開けっ放しの扉から外にでようとした。


 ものすごく自然に動いたから止めるのが遅れた。


 それで止めようとしたら、ヤンは立ち止まっておれの方をむいた。


「そうだ、女をよこせ」


「女?」


「そうだ女だ。とりあえず五人よこせ、全員処女だ、いいな」


「いや……」


「場所は……てめえの舘でいい、あそこで待ってるからとっととつれて来い」


 そういって我が物顔で牢をでようとした。


 おれは呆れたが、肩をつかんで引き戻した。


「なんのつもりだ」


「お前は捕虜だ、大人しく牢の中にいろ」


「はあ?」


「三食は保証する。暑かったり寒かったりしたらいえ」


「てめえ、正気か? 本気でおれをここに閉じ込めておくつもりか?」


「ああ。捕虜だろ、おまえ」


「はっ、何もわかっちゃいねえのな、てめえは」


 ヤンは鼻で笑った。何をわかってないって言うんだろうか。


「てめえ、あれで勝ったつもりでいるだろうが、はっきり言って甘い、甘々だ。良いか? マクシム様の力はあんなもんじゃない、あの方はこええぞ? 切れたら何をするのかわからないお人だ」


「そう言うタイプなのか」


「そうだ。それがこのおれ、自分が指名した四天王の一人がここでぞんざいな扱いを受けたらぶち切れるだろうな。そうなったら大変だぜ? この街は支配するところか、草木一本残らない焼き払いコースだ」


「……」


「いや、焼き払うなんて生やさしいことはしねえな。てめえを含めて、この街の人間を全員むごたらしく殺すだろうな」


「……」


「だからせいぜい、おれをもてなした方がいいぞ。おれの扱いでてめえらの今後が決まるんだからな」


「……」


「ふっ」


 ヤンは勝ち誇った顔で鼻を鳴らした。


 おれが答えないのを怖じけついた、と判断したんだろう。


「ご主人様」


 牢の外からリーシャがやってきた。


 両腕に山ほどの万能薬を抱えてやってきた。


「お待たせしましたご主人様。万能薬を持ってきました。数がちょっと足りなかったのでユーリアがその分を作ってます」


「そうか。それをケガのひどい順から配ってやってくれ」


「はい」


 リーシャはおれの命令で動き出そうとした。


「ありゃ確かてめえの奴隷だったな」


「うん? ああそうだ」


「仕方ねえ、あれでガマンしてやる。他にも奴隷が二匹いただろ、そいつらも呼んでこい」


「……なんの話だ」


「てめえボケたのか」


 ヤンは見下す目のまま、おれの額をツンツン突っついてきた。


 ……腹立つな。


「女をつれて来いって話してただろうが。てめえもすぐに女を引っ張ってくるのは難しいだろうから奴隷の三匹でガマンしてやんよ」


「おれの、奴隷を?」


「ああ。エターナルスレイブなんて本当は触りたくもねえが、この際ガマン――」


 腹立つよりも前に手が動いた。


 腰のエターナルスレイブ改でヤンの首をはねた。


 空中に放物線を描いてすっ飛んでくヤンの首。口が未だにパクパクしてる。


 得意げな笑顔がむかついたから更に踏み込んで生首を縦に真っ二つに割った。


 真っ二つで口の動きがとまった。数秒遅れて崩れ落ちる胴体。


 またちょっとイライラが収まらない。が。


 ――魔力を50,000チャージしました。


 後ろを振り向く、いつの間にやってきたのか、ミラが赤面してもじもじしてる。


 リーシャと同じ万能薬を山ほどもってる。追加分を持ってきたら一部始終見てたみたいだ。


「ご、ご主人様? どうしたんですかこれ」


 牢の奥からリーシャがやってきて、目の前の光景に驚愕した。


「どうしたのミラ?」


「えっと、あのね――」


 ミラが説明しようとした。


「リーシャ」


 おれはそれを途中で止めた。


「は、はい」


 リーシャはなぜかおれをみて怯えた。それはいい。


「力を借りるぞ」


 そう言って赤い宝石に触れて、リーシャを取り込む。


 炎の奴隷剣を使って、ヤンの死体を跡形もなく焼き尽くした。


 それでようやく腹の虫が治まった。

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