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少なめのチャージ

 木の家で一晩過ごして、朝起きたら体の節々が痛かった。


 昨日は素材集めで疲れたからさっさと寝たけど、布団とかそういうのを作ってから寝た方が良かったって後悔した。


 今日はベッド、最低でも敷き布団みたいなのを作りたいと思った。


 自分の家を出て、横にあるリーシャの家の前に立った。


 ノックをする、だけど反応がない。


「リーシャ?」


 声にだして呼んでみる、やっぱり反応がない。


 どうしたんだろ。


「入るぞ」


 一言断ってから、ドアを押して中に入った。


 おれと同じように、床で寝ているリーシャの姿が見えた。


 どういうわけか、リーシャは苦しそう

「おいどうした」


「あ……ごじゅじんざま……」


 おれに気づいて顔を上げるリーシャ。


 まるっきり鼻声だ。


「ごべんだざい……いまおぎまず――」


「いい、いい。そのまま寝てろ」


 起き上がろうとするリーシャの肩を押した。


 床に押し戻したけど、彼女はその反動で咳をした。


 鼻声で咳――風邪か。


「ごべんだざい……おでづだい……」


「いいから寝てろ」


 リーシャを置いて家の外に出た。


「メニューオープン」


 メニューを開いて、300魔力を払って地面に魔法陣を作った。


 効くかどうかわからないけど、万能薬の魔法陣だ。


 矢印の方向に沿って、アブノイ草を5個集めた。


 木の家を作るときに取り過ぎたのか、10分くらい歩いてようやく見つけた。


 戻ってきて、万能薬を完成させて、リーシャの家に入る。


「ほら、飲んでみろ」


「はい……」


 しゃがれた声で頷き、万能薬を飲んだ。


 ごくごくと喉が上下する。


「ふう……」


 次の瞬間リーシャの声が戻った。


 ばっちり薬が効いたみたいだ。


「ありがとうございます、ご主人様」


「薬が効いたんだな? どこか具合悪いところは?」


「ありません。ご主人様のおかげですっかり良くなりました」


「そうか、ならいい」


 元気になったリーシャと一緒に家の外に出た。


「今日はどうしますか、ご主人様」


「そうだな……」


 メニューを開いて、じっと見つめて、考えた。おれは開いたメニューを見て、考えた。


 ざっとみた感じ、メニューにベッドも布団もない。寝具になりそうなものはない。


 昨日の事を思い出す、たしか木の家も最初はなくて、万能薬で使ったアブノイ草を手に入れたから解禁したんだっけ。


 とりあえずいろいろ集めたら色々解禁されるかな。


「よし、素材を集めよう」


「何を集めるんですか?」


「いろいろだ、とにかく集めてから考える。手分けして、何でもいいからめぼしいものがあったら拾ってくるんだ」


「わかりました」


「おれも手伝うよ」


 草の家からマドウェイが出てきた。


「そっちは体大丈夫なのか」


「ああ、まったく問題ない」


「そうか、じゃあ頼む」


 こうして、三人で手分けして素材を集めた。


 あっちこっちを回って、落ちてるもの、生えてるもの、めぼしいものを片っ端から拾って、おれの家の前にある開けたスペースに持ってきた。


 まわりは荒野、大したものはなかなかないけど、とにかく片っ端から集めてきた。


 朝から始まって、午後位になると素材が小山くらいに集まった。


 リーシャと二人で素材の山の前に立って、メニューを確認した。


「何か増えましたか?」


「いろいろ増えたぞ。お、鉄の剣が作れる」


 作成リストの中に鉄の剣って言うのを見つけた。


 ワクワクする名前だ。早速作ってみようと1000の魔力を払って魔法陣を作った。


 魔法陣の矢印は素材の山を指した。


「鉄鉱石×20らしい。石っぽいのだ」


「この光ってる石ですね」


「それだ」


 リーシャが石を次々に魔法陣に投げ込む。きっちり20個、ぱっとみ変哲のない鉄鉱石が魔法陣に吸い込まれた。


 それが鉄の剣になった。


 持ち上げて、鞘から抜いて、ビュンビュンふってみた。


 鉄の塊が頼もしかった。


 ここは召喚された異世界、邪神とかがいた世界だ。


 この先何があるかわからないから、武器はあった方がいい。


 そしてリストを確認する。


「まだないな」


「じゃあまた集めてきますね」


 サッと走り出すリーシャ。


「また集めてないものをな」


 リーシャの背中に向かって呼びかけた。リーシャは立ち止まって頷いてから、改めて走り去っていった。


 そして更に色々集める。


 夕方くらいになると、家の前にますますものが増えて――ちょっとしたゴミ置き場みたいになってきた。


 それで作れるものが増えたから、全部何かしらの素材だ。


 それをこのままゴミみたいにするのもなんだから、整理しようと思った。


 5000の魔力払って、木の家を作ろうとした。


 アブノイ草100、木材600、ブシノ石20。


 木の家二つ分の素材一式が小山の中から全部集まった。


 すぐに木の家が作れた。


 一つはマドウェイの家に、もう一つは倉庫にしよう。


 おれは素材を倉庫の中に運び込んで行く。


 そうしているうちにリーシャが戻ってきた。


「また家を作ったんですねご主人様」


「ああ。集めたものはこの中に置いてくれ」


「はい!」


「で、それは?」


「はい! なんかの鳥の羽です」


「羽……羽毛か、もしや」


 はっとしたおれはメニューを開いた。


 大分増えてきた作成リストを注意深く見ていき。


「あった!」


「ありましたか?」


「ああ」


 作成リストの中に羽毛布団があった。


 その魔法陣を早速三つ分地面にはった。


 一つあたり700の魔力、三つで2100だ。


 そして一つにつき「ペロの毛」っていうのが25必要だ。


 リーシャが持ってきたのを投入――布団が一つできた。


 残りの二つは更に集めないといけない。


 とりあえずリーシャに言った。


「リーシャ、これをお前の家に運んどけ」


「……」


「どうした」


 リーシャが浮かない顔をした。


「いえ、何でもありません」


 そう言って、リーシャは気を取り直して布団を――おれの家に運んだ。


「おいリーシャ、なんでこっちに運んだんだ、お前の家に運べって言ったはずだぞ?」


「ごめんなさい、でもご主人様がさきだと思いますから」


「そうか」


「はい」


 頷くリーシャ。


 しーん、と沈黙が流れる。


 ちょっと期待外れだ。


 ぶっちゃけ、今ので魔力チャージを期待した。先に出来たのをリーシャにあげて、それで喜んでもらって魔力をゲットしようと思ったのだ。


 さすがに狙いすぎたか。


 まあいい。


「リーシャ、残った布団二つはお前に任せる」


「はい」


「二つ目はお前のだぞ」


「わかりました」


 リーシャが駆け去って行った。


 やっぱり魔力はチャージされない。


 おれもその場から離れた。


 日が暮れるまで、もうちょっと素材を集めようと思った。


 歩いてるうちに、はじめてモンスターに遭遇した。


 ぱっとみウサギだけど、普通のウサギの倍の大きさで、目つきが悪くてどう猛そうな牙を剥き出しにしている。


 これも何かの素材になるんだろうか。


 ……なるな。


 なんとなく確信したおれ。


 こういう場合、モンスターからも素材がゲット出来る事がおおい。


 なら、やるべきだ。


 今日作ったばかりの鉄の剣を抜いて、ウサギに斬りかかった。


 はじめてモンスターと戦ったが、ウサギはたいしたことがなくて、何とか勝つことができた。


 ウサギの死体を持ち帰った。


 家の前ではリーシャが布団をマドウェイの家に運ぼうとしているところだ。


 魔法陣がなくなってる。二つとも完成して、二つ目をマドウェイの家に運んでた。


「お帰りなさいご主人様! それは?」


「倒してきた、なんかの素材になるかなって」


「モンスターを……」


 リーシャは尊敬した目でおれを見た。モンスターを倒せたのがすごいって事なのかな?


 それは後で聞いてみようと、おれはメニューを開く。


 増えたものがないかと念入りにチェックして。


「一つだけ増えてるな。数も1でつくれるのか」


「作りますか?」


「作ろう」


 それに振れて、魔法陣にして、ウサギの死体を投入。


 魔法陣が完成品に変わる。魔力950の「毛皮のドレス」だ。


 できあがったのは白い、女物のドレスだ。


「ドレスだな」


「そうですね」


「女物だな」


「はい」


「じゃあお前のものだな」


「えっ」


 驚くリーシャ。


「だって今、女はお前しかいないだろ?」


「そ、そうですね……」


 毛皮のドレスをリーシャに押しつけた。


 リーシャは困った顔をした、しかしまんざらでもなかった。


 ちょっとの間迷って、リーシャは。


「ありがとうございます、ご主人様」


 と言った。


 ――魔力が1000チャージされました。


 比較的微妙な結果だけど、悪くはないと思った。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] なんか嫌な主人公やなぁ。打算的というかなんというか
[気になる点] ご飯はどうしてたの?
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