エターナルスレイブ改
エターナルスレイブ改。
早速メニューの中から必要素材を確認した。
エターナルスレイブ×1
奴隷の誓約×2
わかりやすいパターンだ。
元となるエターナルスレイブを、奴隷の誓約というのを二つ使って強化・改造するタイプの生産。
リーシャとミラをみた。
二つというのも、当然二人の事を指しているはず。
「どうしましたかご主人様」
「お仕事ですか?」
リーシャは小首を傾げて、ミラはワクワク顔だ。
「作りたいものがある、手伝ってくれ」
「「はい!」」
二人は同時に頷き、即答した。
メニューを更に確認する、エターナルスレイブはもうあるから、奴隷の誓約を作る。
奴隷の誓約の素材は。
鮮血のインク×1
七生の契約書×1
どっちも持ってないアイテムだ。
鮮血のインクも確認。
奴隷の血×1
とあった。
つまり、リーシャとミラの血が必要なのか?
魔法陣を地面に二つ作る。
矢印が出て、二人を指した。
今までとはちょっと違うパターンだ。
片方の魔法陣がリーシャを、片方がミラを指してる。
汎用じゃなくて、特定で指名してる感じだ。
「わたし達ですか?」
「体が光ってる……血管?」
ミラが言った通り、矢印に指されて、体全体じゃなくて、血管が光ってるみたいだ。
全身を葉脈みたいに光ってる姿は幻想的で美しかった。
「お前達の血が必要らしい」
「わかりました」
「やじりを使おう?」
狩りの前に作ってやった矢を使って、二人は手のひらに傷をつけた。
傷から血が出て、それを魔法陣に注ぐ。
必要分の量がたまって、魔法陣がアイテムに変わった。
鮮血のインク、とやらになった。
「それを持ってて」
「「はい!」」
さらに二つの魔法陣を作った。七生の契約書、とやらの魔法陣だ。
こっちは普通の素材だった、倉庫の中にあるエルーカーの毛皮だったから、二人に持ってこさせて魔法陣に入れた。
すると、真ん中に魔法陣の紋様と、文字の書かれた羊皮紙(羊じゃないけど)になった。
二枚とも持ち上げて、内容を読む。
みた事のない文字だけど、何となく読めた。
「契約書か……むっ」
おれは眉をひそめた。
内容がちょっとアレだったからだ。
「どうしたんですか」
「みてもいいですか?」
二人が横にやってきてのぞき込んだ。
おれは無言で七生の契約書を二人に渡した。
二人がそれを読み込む。
内容はおおざっぱにいえばこうだ。
奴隷である彼女が永遠におれの奴隷である事を誓い、魂を差し出すというもの。
七回生まれ変わっても、ずっとおれの奴隷として、あらゆる命令に従うというもの。
それを同意するのなら、鮮血のインクでサインする事。
以上だ。
七回生まれ変わっても、と言うのがネックだとおもった。それをどう説得しようかと思ったその時。
二人はほぼ同時に――いやむしろどっちが早いのかを競うかのように。
インクを使い、契約書にサインした。
契約書は光って、光の玉になった。
おれは驚いた。
「おいおい、もっと考えなくて良かったのか? 七回生まれ変わってもだぞ」
「ご主人様の奴隷ですから」
「むしろ幸せです!」
二人はそう言って、光の玉をおれに差し出した。
エターナルスレイブ。
おれはまだ、彼女達を見くびっていたようだ。
「そうか」
光の玉を受け取った、二人を見つめる。
「これからもおれの奴隷でいろ」
「「はい!」」
――魔力が100000チャージされました。
――魔力が100000チャージされました。
魔力が増えたが、それはひとまず無視。
メニューを開いて、エターナルスレイブ改の魔法陣を作る。
矢印がエターナルスレイブと光の玉を指してたから、それをまとめて入れた。
魔法陣が、新たな剣に変わる。
エターナルスレイブ改。生まれ変わった奴隷の剣。
それをとって、まじまじみた。
「あまり変わってないな、ここに二つ宝石がついたくらいか」
見た目は柄と刀身の間に赤と水色の宝石が増えただけだ。
これでどう「改」なのか、おれはそう思いながら赤い方の宝石に触ってみた――その時。
リーシャの体が光る、光って――剣に吸い込まれた!
金属だった刀身がはじけ、赤い炎に変わった。
炎でできた刀身に変わった。
「リーシャさん!?」
「これは……」
(ご、ご主人様?)
頭の中で声が聞こえた、胸の中に気持ちが流れ込んできた。
『ご主人様のものになれて嬉しい』
そんな気持ちが。
「……そうか」
今度は水色の宝石に触れた。
リーシャがはじき出され、ミラが吸い込まれた。
今度は淡い、水の刀身になった。
(わわ、わたしが溶けた!)
『ご主人様ご主人様ご主人様ご主人様ご主人さまああん』
やかましい、でも悪い気はしない。
水色の宝石に触れ、ミラがはじき出される。
二人の奴隷、エターナルスレイブ改。
二人をみた、二人は顔を赤らめた。
「これから頼むぞ」
「「はい!!!」」
満面の笑顔で頷く二人。
――魔力が1000000チャージされました。
――魔力が1000000チャージされました。
魔力がチャージされた――が。
ちょっとしてから、魔力値が999999だって気づく。
二人の喜びが、フロンズカードの上限を突破していた。




