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女王のプロポーズ

 上下左右のトラップ部屋を作ったあと、リラと休憩に入った。


 地面に座って、目の前に一番コストの低いプシニーの魔法陣を貼って、その上に素材の土を離して置いた。


 光る魔法陣と矢印が照明代わり、本来の使い道から外れたちょっとした応用だ。


 その光を見つめながら考える。


 とりあえず基本的な防衛システムを作ったけど、ちょっと足りないよな。


 リラを拉致しようとした悪党の会話を聞いてたけど、下手に護衛とかつかない方がよさそうだ。


 マイヤとかおれに近しい人間なら大丈夫だろうが、他はいまいち不安だ。


「やっぱりここだけで完結する、メンテナンスフリーの洞窟、ダンジョンにした方がいいよな」


「……」


「リラはどう思う? 何か気づいたこととかやって欲しい事とかあったらなんでも言え」


「……」


「リラ?」


 リラからの返事がない、どうしたんだろうかとおれの真横にいる彼女を見つめる。


 目が合った。とぐろを巻いてるリラはおれに熱視線をむけてきている。


 なにも言わないで、ただただうっとりした視線を向けてくるだけ。


 顔の前で手を振った。やっぱり反応しない。


 どうしたんだ? 目を開けて寝てるのか? でもこの目はおれを見つめてるよな。


 左に動く、視線が追ってくる。


 右に動く、こっちに追ってくる。


 うん、起きてる。


 起きてるのに、何でだ?


 ふーむ。


 その時おれの体が光り出した。


 光っただけじゃない、遠くから矢印が伸びてきて、おれをさしていた。


 魔法陣の光だ。


 しばらくすると足音が聞こえ、メイド服を着た幼いエターナルスレイブが現われた。


「オリガ」


「ご主人様」


 やってきたのはおれの奴隷、オリガだった。


 手に奴隷カードを持ってる。なるほど魔法陣でおれの持ってるものを素材指定して探しに来たんだな。


「どうしたオリガ」


「ご主人様、わたしはどこで寝ればいい、かな」


「うん?」


「そろそろ寝る時間、だよ?」


「……おお、そんな時間なのか」


 全然気づかなかった。


 ずっと地下にいたから時間経過に気づかなかったけど。


「外はもう夜なのか」


 こくこくと頷くオリガ。


「そうか。じゃあ今日はもう寝よう。オリガもここで休んでいけ」


「ご主人様のおふとん持ってくる、です」


 オリガがそう言って、ばたばたと走っていって、すぐにまたバタバタと戻ってきた。


 体より遙かに大きい布団一式持ってるけど、DORECA産だから重量関係なく持ててる。


「さて、寝るか。リラはどうする――」


 聞こうとして、気づく。


 リラの視線がますます熱さを増してることに。


 一体どうしたんだ?


「し、使者様」


「お、やっと喋った。どうしたんだ?」


「そ、その子、その子ってもしかして?」


「うん、おれの奴隷だ」


「え?」


 きょとんとなってしまうリラ。


「奴隷? 使者様のお子さんじゃなくて?」


「そういえばそうだ。うん、おれの子でもある。エターナルスレイブだから、母親共々奴隷なんだ、おれの」


「あ、はい!」


 納得するリラ。エターナルスレイブって聞いて納得した様子。


 そしてまたうるうる目になって、熱視線を送ってくる。


 さっき以上に熱くなったのは気のせいじゃないな。


「リラ、どうしたんだ?」


「その、使者様」


「うん?」


「その、わたしは独り立ちして、新しい集落をつくって、子供を産んで育てていくんです」


「ああ知ってる、だから今巣作りの手伝いをしてるんだろ?」


 それがどうした、って目で見る。


「その、もしよかったら」


 リラは必死な様子で訴えかけてきた。


「わたしに、使者様の子供を産ませてください」


「ああ、いいぞ」


「本当ですか! ありがとうございます! 嬉しいです!!!」


 思いっきり感激するリラ。そうかさっきからそれで。


 というか最初からそのつもりだし、なんとなくそうなるんじゃないかって思ってたし。


 リラ、可愛いし。


 だから驚きはしないで、即答することが出来たんだが。


 子供はどうやって作るんだろう。


 リラの下半身を見た。彼女はヘビ女だった。

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