決意表明
戦艦リーシャの中、ちょっと前に親衛隊を全員抱いた時に使った部屋。
そこに三人の女が待っていた。
名前はたしかシーニャ、カチェリーナ、レナータ。
約束どおり女にした時、名前を聞いて覚えた。
そんなマイヤの仲間、一緒になって村を襲う盗賊になっていた女たち。
おれが部屋に入るなり、三人は一斉に両手両膝をついて、頭を下げてきた。
まるで三つ指をつく貞淑な妻のように。
「ありがとうございます」
「王様のおかげで子供が出来た」
「本当にありがとう」
「いいから、とりあえず立って」
すぐさま三人の手を取って立たせた。
あの日と違って、部屋の中からベッドとじゅうたんが取り払われてる。
今のここは無骨な感じがする戦艦の中の一室で、本来あるべき姿。
床は冷たくて硬い。妊婦が土下座していい場所じゃない。
だから起こした。
立ち上がった三人はますます感激した目でおれを見た。
シーニャは明るい隣の幼なじみみたいな子で、カチェリーナは無愛想な所のある子だ、レナータは本人が子供みたいな子だった。
それがしばらく見ないうちに、全員、母親っぽくなっていた。
ビックリする位の変わり様だ。
「本当に、子供が出来たんだな」
ものすごく感慨深かった。
「アキトのおかげだよ」
背後からマイヤが話しかけてきた。
振り向く、彼女は三人に勝るとも劣らないくらいの感激顔だ。
「マイヤ」
「アキトがいてくれたから。アキトが受けて入れてくれたから今のあたいらがいるのさ。そうじゃなかったら……今頃あたいら、どっかでのたれ死んでたさ」
うんうん、後ろの三人が声を揃えて頷く。
確かに、おれの手が入ったところは立ち直ってきてるけど、それ以外はまだまだ人間が生きるには厳しい。
「それか――殲滅した連中みたいになってた」
……。
「ミドロファン残党の事か」
「そうさ」
「それって……運命だよな」
なんとなくその言葉が出てきた。
マイヤたちと、ミドロファン一味。
よく考えたら、両者には意外な共通点があった。
どっちも、最初はおれと敵対していた。略奪で食っていこうとした。
そう、マイヤ達も最初は町を襲っていた。
それがおれに倒されたあと、素直におれの下についた。
一方のミドロファン一味は最後まで敵対した。好条件を出したのにもかかわらず、それを蹴って、襲撃と略奪を続けた。
その結果、片方は衣食住を保証され、女としての幸せも手に入れた。
もう片方は全滅され、この地上から消し去られた。
あきらかな明暗。
そう考える皮肉なもんだな、ミドロファン一味をマイヤ達がトドメさしてきたの。
「アキトがいて良かった」
マイヤがもういっかい言った。
それを聞いて、女達の幸せそうな顔と感激する姿を見て。
ミドロファン一味の事……もういない連中のことなんてどうでもよくなった。
マイヤ、そして三人の女。
彼女達の幸せそうな表情を見てたらどうでも良くなった。
もっと幸せにしてやりたい。
「出来たのって三人だけか?」
「ああ、そうさ」
マイヤが答える。
「残念ながら他は出来なかった。あたいも」
「そうか。じゃあ全員集めてくれ」
「え?」
「約束しただろ? 全員孕ませてやるって」
「……アキトっ」
感激するマイヤ、そして一足先に幸せの切符を手にした三人。
そう、幸せに。
今回の事でわかった、はっきり言葉になった。
おれの下につくものは、全員幸せにする。
「アキトなら出来るさ」
マイヤはおれの心を読んだように、そう言ってくれた。
心強い言葉だった。




