表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
120/172

決意表明

 戦艦リーシャの中、ちょっと前に親衛隊を全員抱いた時に使った部屋。


 そこに三人の女が待っていた。


 名前はたしかシーニャ、カチェリーナ、レナータ。


 約束どおり女にした時、名前を聞いて覚えた。


 そんなマイヤの仲間、一緒になって村を襲う盗賊になっていた女たち。


 おれが部屋に入るなり、三人は一斉に両手両膝をついて、頭を下げてきた。


 まるで三つ指をつく貞淑な妻のように。


「ありがとうございます」


「王様のおかげで子供が出来た」


「本当にありがとう」


「いいから、とりあえず立って」


 すぐさま三人の手を取って立たせた。


 あの日と違って、部屋の中からベッドとじゅうたんが取り払われてる。


 今のここは無骨な感じがする戦艦の中の一室で、本来あるべき姿。


 床は冷たくて硬い。妊婦が土下座していい場所じゃない。


 だから起こした。


 立ち上がった三人はますます感激した目でおれを見た。


 シーニャは明るい隣の幼なじみみたいな子で、カチェリーナは無愛想な所のある子だ、レナータは本人が子供みたいな子だった。


 それがしばらく見ないうちに、全員、母親っぽくなっていた。


 ビックリする位の変わり様だ。


「本当に、子供が出来たんだな」


 ものすごく感慨深かった。


「アキトのおかげだよ」


 背後からマイヤが話しかけてきた。


 振り向く、彼女は三人に勝るとも劣らないくらいの感激顔だ。


「マイヤ」


「アキトがいてくれたから。アキトが受けて入れてくれたから今のあたいらがいるのさ。そうじゃなかったら……今頃あたいら、どっかでのたれ死んでたさ」


 うんうん、後ろの三人が声を揃えて頷く。


 確かに、おれの手が入ったところは立ち直ってきてるけど、それ以外はまだまだ人間が生きるには厳しい。


「それか――殲滅した連中みたいになってた」


 ……。


「ミドロファン残党の事か」


「そうさ」


「それって……運命だよな」


 なんとなくその言葉が出てきた。


 マイヤたちと、ミドロファン一味。


 よく考えたら、両者には意外な共通点があった。


 どっちも、最初はおれと敵対していた。略奪で食っていこうとした。


 そう、マイヤ達も最初は町を襲っていた。


 それがおれに倒されたあと、素直におれの下についた。


 一方のミドロファン一味は最後まで敵対した。好条件を出したのにもかかわらず、それを蹴って、襲撃と略奪を続けた。


 その結果、片方は衣食住を保証され、女としての幸せも手に入れた。


 もう片方は全滅され、この地上から消し去られた。


 あきらかな明暗。


 そう考える皮肉なもんだな、ミドロファン一味をマイヤ達がトドメさしてきたの。


「アキトがいて良かった」


 マイヤがもういっかい言った。


 それを聞いて、女達の幸せそうな顔と感激する姿を見て。


 ミドロファン一味の事……もういない連中のことなんてどうでもよくなった。


 マイヤ、そして三人の女。


 彼女達の幸せそうな表情を見てたらどうでも良くなった。


 もっと幸せにしてやりたい。


「出来たのって三人だけか?」


「ああ、そうさ」


 マイヤが答える。


「残念ながら他は出来なかった。あたいも」


「そうか。じゃあ全員集めてくれ」


「え?」


「約束しただろ? 全員孕ませてやるって」


「……アキトっ」


 感激するマイヤ、そして一足先に幸せの切符を手にした三人。


 そう、幸せに。


 今回の事でわかった、はっきり言葉になった。


 おれの下につくものは、全員幸せにする。


「アキトなら出来るさ」


 マイヤはおれの心を読んだように、そう言ってくれた。


 心強い言葉だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ