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酒池肉林

 夜、リベック郊外に停泊している戦艦リーシャ。


 雑務を全部奴隷に任せて、おれはそこにやってきた。


 艦内に足を踏み入れた途端、女達がおれを出迎えた。


 マイヤを筆頭に、親衛隊の面々だ。


「お待ちしてました」


 そのマイヤが普段とは百八十度違う、しっとりとおしとやかな口調で言った。


「その格好は?」


 おれは指摘する。


 マイヤ、そして親衛隊の女達。


 かつては荒野をさまよい、盗賊に身をやつしていた女達。


 彼女達は全員ドレス姿だ。


 踊り子のような服装――サリーで身を包んで、黄金色に輝く腕輪を全員つけている。


「無理いってリーシャ……あなたの奴隷に用意してもらいました」


「そうか」


「お気に召しませんか?」


「その前に」


 おれは苦笑いした。


「その喋り方はなんだ?」


「こっちもお気に召しませんか?」


「悪くないが、むずむずする」


「普段通りの方がいいですか?」


「そうだな……」


 おれはマイヤ、そして彼女の後ろにいる女達を見て、考えた。


 全員でおれを出迎えている。


 その格好も、口調も、全部がおれのためにしているもの。


『作ったものはあなた達の好きにしてください』


 この世界に召喚された時に女神から言われた言葉が頭に浮かんだ。


 ものを作り、町を作り、国を作る。作りあげたものを好きにする。


 それが、この荒れ果てて、滅びかけた世界が出せる最後の報酬だと。


 おれは今まで働いてきた。


 荒野の27人から始まって、今はほぼ一万人もの国を作りあげた。


 何もなくて食うだけでもいっぱいいっぱいなところから始まって、経済活動が出来るようになって、イベントでお祭り騒ぎが出来るようになった。


 頑張った、おれは頑張った。


 頑張ったから、その見返りだ。


 そう思うと、目の前の女達の格好も仕草も心地よかった。


「いや、それでいい」


「わかりました、そうします」


「ご案内します」


 親衛隊の一人がおれの横に来て、上着を脱がせてきた。


 その上着を預けて、女達が開けた花道を通って艦内に入る。


 無骨な戦艦の内部、いくつかの角を曲がって、ある部屋に案内された。


 中はベッドルームになっている。


 戦艦の内部に似つかわしくない、天蓋付きのベッドのあるベッドルーム。


「これは?」


「作ってもらいました。本日限りです」


「そうか」


 中に入って、ベッドの上に座る。


 女達がぞろぞろ入ってきた。


 全員が潤んだ目でおれを見つめている。


 おれを求める女達。


 それを見てると……昂ぶってくる。


 高台にのぼり、国民に称えられるのと同質の昂ぶりを感じる。


 女達全員に、抱いて欲しいとせがまれる。


 おれは、即位の式典の時と同じくらい、王になったと実感した。


「アキト」


「うん?」


「……ありがとう」


 潤んだ目でそう話すマイヤを、おれはベッドに押し倒した。


 そこからは文字通りの酒池肉林だった。


 次々に求めてくる女達をベッドの上に押し倒して、合間合間に出された酒や料理を女達に食べさせてもらった。


 五十人の親衛隊を侍らし、愛欲にみちたの一晩を過ごした。


 聖夜のものだったDORECAが新たな進化を遂げた事を知ったのは、次の日、女達を全員笑顔にさせて、おれのものにした後だった。

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