第66話-戦闘前-
そして闘技場についたクラウ達と男性はお互い西と東を歩き
闘技場広場の入場口にいる
「……まぁ、その……雅ちゃん、ごめん!」
クラウは唐突に雅に頭を下げると、雅は『え?』とした表情をしている中
リノエは腕を組み、溜息を吐きながら雅に説明する
「……この男は雅の許可なしで勝負を受けた事を『理解』しているんですよ
もちろん、その事についてクラウは雅に謝ってるんですよね?」
「ああ、その通りだ……」
リノエの言葉に頭をあげず、リノエにそう言うと雅は笑顔でクラウに言う
「大丈夫です、負けてもクラウさんのお金が減るだけなので」
その言葉にクラウとリノエは唖然とした顔をした後
2人は笑いだす
「ははは、たしかにそうだ」
「ですね、それなら雅、盛大に負けてもいいですよ」
そう言いながらも雅は矢を準備するため、その場にしゃがむ
矢が入っていた大きなカゴは持ち運びに不便だと言う事で
雅とリノエの部屋に置いて、矢筒に入る限界まで矢を積めた
それをリノエから受け取ると右肩に背負い、左手に短剣を持つ
「これだけあれば……あとはこの短剣を……」
それを見たクラウは雅に言う
「雅ちゃん、その短剣を仕舞う場所は……?」
「あ……えっと、ないんです」
雅は苦笑を浮かべるとクラウはその場で腕を組んだ後
笑顔で雅に言う
「よし、じゃあこの試合に勝ったら雅ちゃんの服装強化だ!」
「……それって私に勝てっ言ってますよね……」
「はぁ、良い事言ってるようで馬鹿なんですよ、この人は」
リノエは小さな声で雅にそう言うと……雅は立ち上がり笑顔で言う
「それじゃ……行ってきます」
「……雅ちゃん、その短剣を持ってたら負けになるから預かるよ」
「え?」
「……遠距離だけと言ったんだ、もちろん審判側もそれを理解している
だから、それは預かるよ」
「あ、はい」
雅はクラウに短剣を預けると、広場への入場口から中に入る
それを見送りながらリノエはクラウに言う
「で、なんで今言ったんですか?」
「ん? ああ……今言えば、今度そういう事があっても覚えてるだろ?」
「……なるほど、まぁ……雅が遠距離戦で負けるとは思えないんですけどね」
「それはどうかな……」
「?」
リノエはクラウの言葉に少し疑問を感じたが……
クラウが観客席の方へ歩いていくのを見、その後を付いていく
そして……雅は相手の男性の前に出て行く
「……弓か」
「はい」
「俺はこれだ」
そういうと男性は投げナイフを10本、両手で持つ
普通のナイフと違って小型かされており、両手で何十本も持つことができる
その使い方は多種多様に及ぶが、基本的な使われ方は投げる事
『……10本、全部避ければ私の勝ち……?』
雅は心の中で思っていると男性は笑顔で雅に話かける
「ああ、そうそう……俺の名前は『ヘルド・アクト』、よろしく」
「私は……」
「知っているよ、九重雅……」
ヘルドと名乗った男性は頬ずりするような嫌らしい笑顔で雅に言う
それに少し寒気を感じながらも雅は笑顔で返す
「まぁ……いい勝負をしよう」
「はい」
雅とヘルドはある程度の距離を取り、武器を構え審判の合図を待つ
そして、審判の合図と共に……戦闘が始まる




