第61話-一触即発-
「でもさ、クラウってあんな子がタイプだったのね」
「ん? ああ……意外だな」
男性と女性はクラウとリノエの後を少し離れた距離から後を追いながら話をする
それも2人の前を歩いているクラウとリノエは仲良く手を繋いでいた
だが……実際の2人は男性と女性に聴こえないように話をする
「……クラウ、そろそろ手を離したいんですけど」
「……雅ちゃんだったら、いくらでも……」
クラウは小さな声でそういうとそれを聴いていたリノエは溜息を付きながら
クラウに小さな声で言う
「そうですね、私の握っている手も雅だったらいいんですけどね」
「……まぁ、ここは我慢だ我慢」
「……そうですね」
クラウとリノエは傍から見たら仲良く手を繋いで歩いているように見えるが
2人は苦笑を浮かべている歩いている
そんな表情に気づかず、2人を追いかけている男性と女性はまた話をする
「……どこに行くのかしら?」
「さぁ?」
「……まぁ、追いかけてみましょ」
「了解」
そしてクラウとリノエが路地を右に曲がり、しばらくした後
2人はクラウとリノエを追いかけ……路地を右に曲がった時
目の前にクラウとリノエがイラついた顔で立っていた
「えっと……どうしました?」
「……なんで付いてくるのかなぁって2人で話をしてたんだ」
「……それはほら、クラウさん有名だから気になって……」
「そうかそうか……」
クラウは笑顔でそういうが『その笑顔は笑っていない』
その瞬間、リノエは女性の首元の服を掴む言う
「……付いて来てたのはわかっています
正直に言っても許す気はないですが……」
「おい」
男性がリノエを手を掴もうとするとクラウがその男性の手を掴み言う
「……女性の手を簡単に掴んじゃいけない」
「……俺も男に掴まれるのは好きじゃないな」
「そうかい」
クラウはそういうが、その手を離さない
リノエも同じように女性の首元を掴んでいる手を離さない
「あ、あの……そろそろ手を離してもらえませんか?」
「じゃあどうして雅を付けてたのか説明してください」
「み、雅さん? 誰ですか?」
「……私と一緒にいた女性です」
「……わかりませんよ、私はこの人と買い物に行ってて
そこでクラウさんを見つけて気になって……」
「そうだ、俺とこいつは一緒に買い物に来てて
こいつが有名なクラウがいるから追いかけるってな」
「なるほど……」
『なるほど』と言っているリノエだが、その顔は笑っていない
クラウも何も言わないが明らかに2人を睨んでいるのがわかる
『あーこれはまずいわね』
女性はそう思いながらある事をクラウとリノエに話す
「わかりました、言いますよ
雅、九重雅さんが襲われないように護衛を頼まれたんです」
「ということは運営側の?」
「その通りです、運営側の特別な依頼と言う事だったんですけど
まさかクラウさんが女性と手を繋いでいるとは思わなかったので……」
「それで追いかけて来たのです?」
「そうです」
そこまで女性が喋った時、その言葉の溝に突っ込むようにようにリノエは言う
「……そんな大事な依頼を無視してまで私達を追いかけるのは可笑しいですね」
「だから、こいつがクラウ……お前のファンなんだよ」
「……そう言いながらナイフを構えるのはやめてくれないか?」
クラウが握っていない男性の手にはポケットからだしたのか
小型のナイフを持ち、クラウの脇腹に当てている




