第45話-クラウの招いた種-
「も、持ち金……ぜ、全部?」
ロナリィは引き気味で雅に尋ねると雅は笑顔で『はい』と答える
その答え方にロナリィは体に後ろに引きながら苦笑を浮かべている
その光景を見ながらクラウはリノエを手招きすると
リノエはしゃがみながら歩き、クラウの方へ行くと
そして……雅に聴こえないように、小さな声で話始める
『……雅ちゃんってあんな子だっけ』
『私も驚いてますよ……まさか、あんな事を言うなんて』
『ああ、金を全額なんて……そいつに死ねって言ってるような物だしな』
『そうですねぇ……まぁ、雅にも考えがあるのでしょうし
ちょっと聴いててみましょうか』
リノエはそう言うとその場に立ち上がると
それに合わせ、クラウも立ち上がった
その時……リーナは雅に慌てながら話かける
「み、雅! さ、さすがに全額は……やめない?」
「え? どうしてですか?」
雅は真顔で首を横に傾げながらリーナに言うと
リーナは苦笑を浮かべながら雅に言う
「え、いや……有り金全部ってその人に死ねって言ってるようなもんだから」
「え?! そうなんですか?!」
雅は驚いた表情をしながらリーナに叫ぶとリーナは『そう』と頷き
雅の両肩に両手を置くと説明を始める
「たしかにお金を取るのは悪い事じゃない、賭けの物を決めなかった
相手側が悪いんだけど……でも、全額はやめときなさい」
「そうですね、全額を取るって事はその人の生活すら潰す事になるんです
だから、慈悲じゃないけど多少なりとも残してあげるのが
この世界の暗黙のルールなんですよ」
リノエはリーナの言葉に付け足すように言うと
雅はロナリィに頭を下げ、謝る
「すみません……私何も知らなくて……」
するとロナリィは雅と同じように頭を下げ雅に謝る
「……私こそ、こちらも賭け物をちゃんと決めなかったのが悪いし……」
「そうそう、俺を賭けの対象にするのが悪い」
クラウはロナリィの言葉に両腕を組みながら頷くと
リノエは呆れ顔でクラウに言う
「……そもそも、ここまでの元凶はクラウなんですから」
「……いや、うん」
クラウが半端に黙ったのにロナリィがクラウに怒鳴る
「そうそう、クラウが私とパートナーを解除をしなければ
こうならなかったのよ」
「それもそうですね……クラウは元々、女たらしですから」
「そうなのよね、メイドさんとロナリィにも手をだしてるし」
すると、それに便乗する形でリノエとリーナがクラウを責めると
クラウは黙って腕を組み、その言葉を聴いている
しかし……雅はクラウを責めず、自分のベットの上に座り眺めていると
それに気づいたのかクラウが3人の女性からの言葉を余所に雅の隣に座り
雅に話かけると他の女性3人は話し合いを始める
「クラウさん?」
「……ん?」
「い、いえ……どうして私の隣に?」
「なんとなくかな……」
「そうなんですか?」
『実際の所、あの3人より雅ちゃんの傍にいたほうがいろいろと
精神的に助かるのは……言わないでおこう』
「そうだよ」
クラウは笑顔で雅に言うと、雅は首を横に傾けながら『なるほど』と言う




