第44話-結末はどうあれこれから-
「まぁ、ここまでが俺の話だ、理解してくれたか?」
クラウはそういうと『ふぅ』と一呼吸付き、雅の隣に座る
そんなクラウにリノエは先程と変わらず腕を組み、溜息を付きながら言う
「……だれが、クラウの昔話を聴きたいって言いました?」
「え?」
「私達はあなたの『inflammation enchant』について
聴ければいいだけ」
「いや、だから……それを説明するために……な」
「……はぁ、私の過去話も説明してくれたお蔭でリーナに説明しないで
済んだので……いいですが」
リノエはそこまで言うと座っているクラウに手で『退いて』と言う素振りを
するとクラウは立ち上がり、反対側にあるリノエのベットの上に座ると
リノエは雅を見ながら頭を少し下げ、丁寧に言う
「すみませんでした、クラウのせいで長話になって……
雅は起きたばかりなのに、こんな話聴きたくなかったですよね」
リノエの言葉に雅は両手を前にだし、掌を左右に振りながら慌てながら言う
「い、いえ……そんな事は……ただ」
「ただ? どうしました?」
「……クラウさんのパートナーだった人は今どこに……?」
雅のその言葉と同時に部屋にいた全員がクラウの方を向く
クラウはその反応に微笑みながら答える
「さぁ? もっと上の街にいるか……まぁ、どこかで生きてるだろ
だけど、今の俺の知った事じゃないよ」
そうクラウが雅の質問に答えるとロナリィがクラウに話にかける
「1つ質問なんだけど……クラウって前からそんな性格ってわけじゃないよね?」
「ん? あーどうだろうな……」
ロナリィの質問にクラウは腕を組み、首を左右に揺らし悩んでいると
リノエが呆れ顔でロナリィの質問に答える
「……この人は前からそうですよ、最初は取っ付き辛いですけど
慣れてしまえば、ご覧の通り……ふざけた人です」
「おい……それがご主人様に言う事か……?」
「だってそれ以外に何があるんですか?」
「いや、それは……ほら、優しいとか強いとか」
「……優しい? ……ええ、優しいかもですね」
「おい、今眼を逸らしたろ」
「してませんよ」
雅は2人の会話をクスクスと笑いながら見ていると
1つの疑問に辿り付き、2人に声をかける
「あ、あの……」
「? どうしました?」
「雅ちゃん、何かな?」
雅のこもるような発言を聞き逃さず、リノエとクラウは先程までのやり取りを
すぐにやめ、雅の方へ向き、反応する
「えっと……クラウさんの昔話を聴くと、リノエさんって強かったんですよね?」
「そうだね、あの頃のリノエは強かった」
「あの頃って今でも現役で戦えますよ」
リノエの言葉を余所に雅はリノエに話かける
「で、でも……私と最初のペアバトルの時……」
「ああ、あれですか……あれは」
「あれは、リノエが守る事と剣と盾に慣れてなかっただけだよ」
クラウがリノエの言葉を遮り、雅に向かって言う
するとリノエは溜息を付くような態度を取った後、クラウに言う
「……たしかにその通りですけど、元々はクラウが前のパートナーとの
契約をさっさと破棄しないのが悪かったんです……」
「そうだっけか?」
クラウはとぼけるようにそう言うと雅は『あ』と口にだし
再度2人に質問する
「あと、もう1つあって……契約って勝手に破棄できる物なんですか?
前に聴いた話だと、お互いの同意がないとできないって聴いたような」
「……できるわよ」
部屋の入口で立っていたロナリィが雅の疑問に答えるように口をあけ
立ったまま、雅に説明する
「まぁ、知らない人の方が多いとは思うけど、高額のお金を運営側に
渡せば契約破棄を一方的にしてくれる、そうよね? リノエ」
「ええ、その通りです、まぁ……高額なのでほとんどの人が
普通に私達が行ったような破棄方法を取るんです」
「ただし、契約破棄から3日間は組めないのは同じだけどね」
「で、でも……さっきの戦いは普通にペアだったような……」
「決闘だったからね、あ、そうそう……雅、そっちが勝った場合の
賭け物を聴いてなかったわね、対等かそれ以下なら払うわよ」
「あ……そうだしたね、えっと……ロナリィさん」
「何かしら?」
「お二人の『持ち金全額』をください」
その言葉にその部屋に居た雅以外が口を開け、驚きの表情をしていた




