第39話-戦いの後-
そんな静まり帰った広場でクラウは1人……広場を歩き
倒れているロナリィの前に落ちている矢を手に取る
『……普通に店でやまずみで売られている何の変哲もない矢
だが……先端の鉄の部分が砕けていない反面、ロナリィのは砕けた』
その矢とにらめっこしているクラウを余所に
茫然と見ていたフードの男性が大声で言う
「そ、そこまで! 勝者! クラウ&雅!」
その言葉に観客は別々に歓声あげる
そんな中、今だに茫然としている雅にクラウは話かける
「雅ちゃん……雅ちゃん……大丈夫?」
「……はい? なん……です……か?」
雅はクラウの言葉に反応し、クラウの顔を見る
しかし……その瞬間、雅は前の倒れる
それに慌てたクラウは両手で雅を支える
「雅ちゃん?! わ、悪い! 賭けた物は2人が起きた時にやる」
クラウはフードの男性にそういうと、男性は右手をひらひらとクラウに振り
『いいよ、いいよ……気にするな』と優しく言う
「助かる」
クラウはそう言いながら雅をお姫様だっこすると走り出す
その光景を観客席で見ていたリノエとリーナは立ち上がり
急いでクラウと雅を追いかける
クラウは闘技場を出ると……街中を全速力で走る
その光景を街中の人々に見られるが、クラウはそんな事を気にせず
只々……雅が泊まっている宿屋を目指す
それを走りながら追いかけているリノエとリーナは
走りながら話をする
「ねぇ、あの人……あんなに……速かったんだ」
「そう……ですね、あんなクラウは見たこと……なかったです」
しかし、クラウの全力とリノエ達の走る速度に差はあり
離れていく、それに気づいたリノエは立ち止まるとリーナもそれに合わせ止まる
だが、なぜ止まったのかを疑問に思ったリーナはリノエに聴く
「追いかけないの?」
「……追いついた時にはもう宿屋ですよ」
リノエはその場から歩く……
それに合わせ、リーナもリノエの隣を歩きながらリノエに話かける
「クラウの『魔法』ってなんなの?」
「はい? あの戦いでクラウは魔法、使いました?」
「使ったはず、相手の男性に当たる事なく岩を攻撃してたみたいだし」
『……なるほど、そっちでしたか』
リノエはリーナに気づかれないように微笑むと
リノエはリーナに説明する
「ああ、あれですか……あれは魔法じゃなくて、『剣圧』ですよ
刃状の物が風となり、相手を切り裂く……そんな物です」
「それは何となくわかるんだけど……どうして男性の素通りして
岩を攻撃できたか、それが気になる」
「そんなの簡単ですよ」
リノエは笑いだす、それに首を傾げたリーナはリノエに聴く
「簡単って……どういう事?」
「相手の男性を狙ってやってないからですよ
ようは、横から斜めに岩めがけて放てばいいだけで」
「……それって意味あるの?」
「あるから、クラウはやったと思いますが……
まぁ、そこまで気になるなら後で本人にでも聴いてください」
「……そうする、でもさ……メイドさんっていろいろ詳しいんだね」
「詳しい? ……それはクラウのせいかもですね」
「へぇ……じゃあ、今度メイドさんの話も聴かせてね」
「……気が向いたらお話しますよ」
そんな話をしながらリノエとリーナは宿屋を目指し歩いていく
一方……倒れたまま放置されたロナリィ達は運営側により
闘技場の医務室に運ばれていた
しかし、2人は目を覚まさず……ベットの上で寝ている
その2人を治療したであろう医務室で椅子に座っている茶色のフードの人
そのフードの人にもう1人のフードの人物が声をかける
「2人の様子は?」
「まだ寝てるわよ、1人は胸付近の鎧を砕かれただけみたいだから
その内、眼を覚ますけど……」
「けど?」
片方、医務室の椅子に座っていたフードの声は女性で
もう1人は男性の声である
「……もう1人が重傷でね、結界のお蔭で火傷は治っているけど
精神と体の内部が問題かしらね」
「内部? そこまで酷いようには見えないが」
「……どうかしらね、どんな魔法でどこまでやられたのかはわからないけど
あの攻撃をもう少し食らったとするのなら…………考えたくないわね」
「……結界を信じろって事だな」
「あんまりその言い方は良くないけど……そういう事ね」
フードの女性は下を向き、少しだけ男性の言葉に微笑む




