第30話-元パートナーとの再会-
「このお店はどうでしょう?」
服屋を出てしばらく歩いた4人は食べる場所を探して歩き
リノエが少しおしゃれなカフェらしき場所の前で止まると3人に言う
「私はおまかせします」
「私もここでいいと思うよ」
雅とリーナはリノエの言葉に頷き、答えるが……
クラウだけは首を横に振り、断る
「お、俺はいいや、3人で食べてきなよ」
「え……クラウさん、一緒に食べないんですか?」
雅は狙ってやっているわけではなく、自然体でクラウに上目使いで話す
クラウは雅の姿勢に少し動揺しながら答える
「ご、ごめんね……俺はこーいうとこ合わないから」
「そうですか……」
雅は顔を下に向け、寂しそうにすると……リノエとリーナがクラウの両脇に
立つと、リノエは左腕を、リーナは右腕を掴みクラウを引っ張り出す
「お、おいっ……少し嬉しいじゃなくて……待て、俺はいかな」
クラウがそこまで言いかけた時には既に店の中に入ってしまっていた
そして雅がカウンターで空いてる席があるか店の人に聴いていると
クラウに向かって女性の声が響く
「あー! クラウ!」
「……気づかれた」
クラウは小さな声で下を向きながら言うと、それに反応したリーナが
叫んで女性に質問する
「ねぇ、あなたはこの人の何?」
女性は席から立ち上がり、クラウの方へ歩いてくる
その間……他の客から見られているが、それに気も止めず
クラウの目の前まで来ると、今も右腕を掴んでいるリーナに言う
「私はクラウの元パートナー、あなたはクラウのなんなの?」
「私? 私はついさっき知り合っただけ」
「じゃあ、なんで腕を掴んでいるわけ?」
「この人がこの店に入るのを断ったから、ちなみに私だけが
クラウを腕を掴んでいるわけじゃないわよ?」
女性はリーナの言葉に反応して首を反対の腕を掴んでいる女性を見た瞬間
まるで『嫌な物』を見るかのような顔をしながら言う
「リ……リノエ……あなたはまだクラウの付き人やってるの?!」
「……そろそろやめようかと思いましたが、いろいろありましてね」
「いろいろ? それは、置いといて……クラウ、また私と組んでください」
女性がクラウの方へ向き、真面目な顔でそう言うと……
クラウはほぼ同時に答える
「断る」
「……なんで?」
女性がクラウに疑問を投げかけた時、雅がその会話の内容を聴いていなかったのか
普通にリノエ達に話かける
「あ、あの……席取れましたよ?」
「この子が俺のパートナーだから」
クラウは来たばかりの雅の右手を左手で握ると笑顔で答える
すると女性は驚いた顔をしながら雅の顔を見ると……嫌そうに言う
「……あんたが? 私を差し置いてクラウと組んだ人?
すごく弱そうだし……クラウ、あんたは何考えてるの?」
「おい、それ以上……雅ちゃんを馬鹿にすると俺が怒るぞ」
「なんでクラウが怒るのよ……私とこの子の問題でしょ?」
「俺のパートナーが喧嘩売られてたら守るのが当たり前だろ」
「守る……ですって?! 私の時はそんな事しなかったのに!」
クラウの言葉に女性は怒鳴る……周りで見ていた客はヒソヒソ話を始める中
リノエとリーナは首を横に振り、付き合ってられないと言った表情で
席に向かい……雅はただ1人、何の事かわからず、その場で首を傾げている




