第23話-真実は何時も自分の知らない所で-
「……3対2だ、片方が女のお前らのほうが不利だな」
相手の男性は吹き飛ばされた2人が起き上がり、自分の横にくると
強気な態度でクラウに言うが、クラウは鼻で笑いながら言う
「なるほど……数が多ければ勝つか、それはわかるが
お前らの力量じゃ、3人じゃなくて1人と半分ぐらいじゃないか?」
「うるせぃ……お前ら、いくぞ!」
男性3人がクラウに向かい走りだした直後、雅は武器を構えようとした
しかし、クラウはそれを止め、優しく笑顔で雅に言う
「大丈夫、というか……街中で武器はだめだよ?
まぁ、拳で殴り合いは男の喧嘩……雅ちゃんは見てな」
「……はい」
雅は武器から手を離し、両手を胸元に当てる
クラウはその姿勢を横目で見ながら男達に走っていく
すると、男の1人がクラウの左から右の拳を振り上げながら言う
「女の前でナイト気取りかよ!」
しかし……クラウはその攻撃を顔を少し横にし、避ける
そして、左足でその男性の腹を蹴り飛ばし、吹き飛ばしながら横目で言う
「ちげぇよ、俺のパートナーを守る、それだけだ」
横目を向いた隙にクラウの右、そして前からクラウに拳を振り上げるが
クラウはその男性2人の足を払う、すると男性2人はその場に尻餅を付く
「ったく……どうせお前らは『誰かに雇われた』雑魚だろ?
さっさと、どこか行かないと……この場が血だらけになるぞ?」
それを聴いた男性2人は起き上がり、クラウの威圧に負けたのか
一目散に逃げだしてしまう、最後に残った1人も悔しそうな顔を浮かべ
クラウに暴言を吐くと逃げ出す
「お前が助けにこなければ成功だったんだよ!」
「いやいや……お前ら、雅ちゃんに変な事しようとしたじゃん」
クラウは小さな声でそう突っ込むが誰にも聴こえていない
そんなクラウに雅は小走りで近寄り、クラウの右腕の服を掴むと言う
「ありがとうございました……怖かったです……」
クラウはその手を振り払う事なく、空いている左手で雅の頭を撫でると
笑顔で喋りだす
「そうだね、まぁ……これから、街では俺が守ってあげるさ
だから、雅ちゃんはツヴァイ・ユニット・バトルで俺を守ってくれ」
「え……?」
「ん? 言い方が悪かったかな? 街では俺がボディガード
闘技場では、後ろから弓で俺を守ってほしいって事」
「それは……その、クラウさんの迷惑じゃ?」
雅は上目使いでクラウにそういうとクラウは心の中で動揺を隠せず
冷静を装いながら、雅の頭を撫で続ける
『……可愛い、だが、ここは我慢だ、我慢……ここはかっこよく
言えば、雅ちゃんからの評価は上がるはずだ!』
「迷惑じゃない、パートナーなんだから、お互い様ってやつだよ」
「そうですか?」
「ああ、だから雅ちゃんも遠慮せず、俺を頼ってくれ」
「はいっ」
「それと、雅ちゃん、これをあげる」
クラウはそう言いながら落ちていた袋を何個か雅の両手の上に置くと
雅は不思議な顔でクラウと袋を交互に見始める
「それは彼奴らが落とした、金かな……まぁ、落とさせたのは俺だけど」
「え?」
「さっきの喧嘩で吹き飛ばすと同時に財布って言うかそれを吹き飛ばしたのさ」
「どうしてそんな事を?」
「雅ちゃんに変な事をしようとした罰かな」
「貰っちゃってもいいんですか……?」
「その袋に名前は書いてないよね? それに、ただの布の袋だ
持ち主なんてわからないさ……だから、いいんじゃないかな?
もしも負い目を感じるなら、俺から雅ちゃんへのプレゼントだ」
「……ありがとうございます」
雅はそう言いながら3つの袋を1つずつ、中身を見ようとした直後
雅の後ろから逃げ出さなかった1人がこっそりと雅を羽交い絞めにするため
両手を挙げた直後、クラウは音速を超えるような速さでその男性と雅の間に
入ると、腹を殴り、気絶させると財布を抜き取り……路地裏の見えない所に投げる
「クラウさん、袋の中から『20ベル』『10ベル』『10ベル』でした」
雅はそんな状態が見えなかった、袋の中からだしたお金を両手の上で広げながら
クラウに見えると、クラウは笑いながら……もう1つの袋を雅の手掌に置く
「ははは……ショボイな、と言うわけでもう1つ渡し忘れたプレゼント」
「……これはクラウさんの分です、もう受け取れませんよ」
「そうか? まぁ……そういうなら……」
そう言いながらクラウは袋を雅から受け取ると中を確かめると
苦笑を浮かべながら自分の掌にお金を落とす
「……これは『5ベル』、まぁ……食事代にはなるかな」
「じゃあ、リノエさんの分もどこかで買っていきましょう」
「了解」
そう言いながら雅とクラウは歩き出す
クラウは歩きながら『ある事』を心の中で思いながら歩く
『……さっきの水代はまぁ、雅ちゃんの笑顔で良いとして
問題は、さっきの奴らか……どうして雅ちゃんにそこまでする?
何かあるのか? まぁ……それはさておき
雅ちゃんは意外に図太いのかもしれない』




