第21話-別々の場所で-
「で、さ……あんたはどうしてここに残ったの?」
「……さっきも言いましたよね? 私は手伝いたいだけです」
ワンピースの型を用意するための道具を揃えているリーナはリノエに話かける
しかし、リノエは用意された道具を1つ1つ確認しながら片手間で話す
それを見ながら準備をするリーナはリノエに言う
「そういえばメイドさん、あなたの名前は?」
「別にメイドで構いませんよ」
「そっ、でも私はあなたって呼ばれるのは嫌いだから名乗っておくわ
リーナ・ミリアンテ、よろしくね『リノエ』さん」
「っ?!」
リノエはリーナの言葉に道具から手を離し、リーナから距離を取ると
両手を握りしめ、臨戦態勢に入る
そんなリノエにリーナは慌てた感じで言う
「違う違う、あの時の戦いを見てたのよ、それで名前を知ってる」
「嘘よ……闘技場じゃ名前をわからないはずよ」
「じゃあ、どうしてこの紙にあの子の名前があるのかしらね」
「……誰かに聴いたとかじゃ?」
「違うわよ、簡単な話、『ランキング』を見ればいい
ポイントを1回取っただけなら計算は簡単だし
あの子の名前は割れているけど、あなたも一緒にいたのだから答えは」
「……なるほどね」
「納得してもらえたようで何より、さぁ……仕事を始めましょうか」
「ええ」
リノエはリーナの説明を聴きながら服を作り始める
作りながら……リーナはリノエの手先に驚いた
「……凄い、メイドさんはなんでもできるのね」
「できませんよ、できるのは裁縫と剣技……その他は無理です」
「メイドさんなら料理とかは?」
「できません」
リノエは真面目な顔でリーナにそういうとリーナは苦笑を浮かべながら
リノエに言う
「……そっ、まぁ、料理ができない女性がだめってわけじゃないからね
私もできない側だから同じ」
「……料理の勉強しようかしら」
「私と同じなのは嫌なわけ?」
「そんな事ないわよ」
リノエはそう言いながらも口元が笑っており、リーナはそれを知ってか
少し両目を閉じ、両目を開くとまた作業を始める
そんな事をしてる2人を余所に店の外に出た雅はリノエに言われた通り
路地裏に入り、木目で大きな建物、入口が2枚扉の建物を探す……
しかし……そんな上手くは見つからず、雅は路地裏をうろうろしてると
若い男性4人に囲まれる
「おい、こいつ……今有名な『ミヤビ』じゃないか?」
「ああ、そうだな……身ぐるみはがしちゃうか?」
「おいおい……お前は餓鬼が好きなのかよ」
「ちげぇよ……」
「じゃあ、なんだよ」
「……売れそうな気がしただけだ」
「ああ、なるほどな」
雅は黙って臨戦態勢のまま男性4人の会話を聴いている
1歩動けば男性の手につかまり捕縛されてしまう
では、どうやってここを抜けるか……迷っていると
男性の1人が雅の右腕を掴み、笑顔で言う
「へへ、抵抗しないみたいだし……貰える物もらっちゃうぜ」
「それもそうだな」
もう1人の男性が雅の左腕を掴み、雅の両腕が男性に捕まって抵抗できない
雅は足をバタつかせていると……他の男性2人が雅の足を持ち上げようとする
「や、やめ……」
その時、雅の足を掴もうとした男性の1人が白目をだし、その場に倒れる
「お、おい……」
もう1人の男性が後ろを振り向くと、そこには金髪の男性が笑顔で立っているが
その笑顔はあきらかに嬉しいほうではなく……殺意の込められた笑顔に見えた
「……お、お前は……げはっ」
金髪の男性の前にいた男性はお腹辺りを殴られ、その場にしゃがみ込んで仕舞う
雅は殴った男性の顔に見覚えがあった……
「クラウさん!」
「やっ、お迎えにきたよ」
クラウは笑顔で右手を挙げ、雅に言うと……すぐ真面目な顔に戻り
雅を捕まえている男性に言う
「……そこの雑魚共、その子に手を出したこと後悔させてやる」




