第2話-始まりは嫌な方向へ-
「は……い? 異世界ですか?」
雅はキョトンとした顔で目の前の女性を見、そう言うと……
メイド服の女性は微笑みながら伸ばした両手を手元に戻し腕を組みながら言う
「そうです、その紙に書いてある通りの場所です」
「え……? えっと……どうやって行くんですか?
それに準備する物とか……そもそも、私は行くとは言ってないです」
するとメイド服の女性は溜息を付き、雅のその態度を睨むように見た後
下を向き、呆れ顔で小さな声で言う
「……はぁ、この子に資格があるのだから、説得しないといけない
でも……ちょっと……時間短縮してもいいわよね」
そういった後、メイド服の女性は顔を上げ笑顔で雅に話かける
「えっと……あなたのお名前教えて欲しいのとその紙こちらに渡して貰えます?」
「あっ、はい」
雅は紙を女性に渡すが名前は教えなかった
それは……見ず知らずの人、『それも変な人』にいきなり名前を聴かれて
教える人はいないと思ったからである
それを予測してか紙を受け取った女性は紙を見ながら心の中で思う
『……さすがに名前は教えてくれないわよね、でも紙は手に入った
ちょっと荒っぽいけど……最初が肝心よね』
「さて……私の目の前のお嬢様、今からお出かけをしましょう」
「え?」
メイド服の女性は左手で雅の左手を取る
雅自身、弓道道場の帰りの途中のため弓を背中に背負い
他に持っているのは学校の鞄を右手に持っている
そのため左手は空いていた、そして女性は右手で紙を握りしめながら言う
「ここに『資格』ある者の招待状と『指紋』があります」
女性がそう言った瞬間、女性と雅の真下に赤色の魔法陣が地面から
小さく円を描くように大きくなり、雅と女性を包み込む大きさになる
「え、え……何これ?!」
「ちょっと荒っぽいですが……いきましょうか『異世界』に
細かい事は向こうで説明しますね、お嬢様」
メイド服の女性がそう笑顔で雅に微笑んだ時
辺りが光に包まれ、足元の魔法陣が円を描きながら小さくなっていき
2人を包み込み……消え、この場所には誰もいない
そして……雅が目を覚まし、倒れていた地面から体をお越し
辺りを見回すと……そこは見知らぬ街だった
「やっと起きましたね……お嬢様」
雅の目の前に立ち、腰に両手を当てながら屈みこむ形で雅に話かけたのは
この場所に連れて来た『元凶』のメイド服を着た女性
「ここはどこなんですか?! いったい私に何を?!」
「そんなに大声で怒鳴らないでください、周りの人の迷惑です
とりあえず、起き上がってください」
雅が当たりを見回すと布のマントを着ている男性や腰にナイフを付けている女性
に見られているのを確認した雅は恥ずかしそうに慌ててその場から立ち上がると
メイド服の女性が雅の右手を引っ張って歩き出すと雅はあることに気づく
「あ……れ? 私の鞄がない……」
メイド服の女性は雅の顔を見ることなく、歩きながら言う
「多分ですが、気を失っていた間に誰かに取られたのでしょう
背中の……何かは取られずに済んだみたいですけどね」
「嘘……あの中にお財布とか携帯とか入ってたのに……」
「財布にけいたい? ですか……財布はこの世界とは違う通貨でしょうし、使い物にならないとして、そのけいたいとか言う物は見ても理解できない物でしょうし、どこかに捨てたか売りとばすが正解でしょうね」
「そんな……」
そしてしばらく歩いた所でメイド服の女性は足を止め、雅のほうを向くと、目の前の建物の説明する
「ここがしばらく泊まる事になるかもしれない宿屋
お金は私が貸しておいてあげます
後は……もう一つの『資格』がないですね」
メイド服の女性は腕を組み悩み始めるが、雅はそれどころではない
鞄が盗まれたのはもうどうしようもないと諦めた所まではいい
しかし、この場所……目の前の建物、そのすべてがわからない
「そ、その前に……ここの説明を……」
雅はあたりを見回す、木の家が何件の並んでいるのだから商店街か何かなのはわかるのと……街の端っこに闘技場みたいな円状の物がある
「……そうね、じゃあ宿屋の中で説明してあげます
付いてきてください」
メイド服の女性はそそくさと宿屋らしき建物の中に入っていく
雅も続く形で建物の中に足を進める




