ここは狸か、狐憑き。
超短編です。
過度な期待はしないでください。
ここは狸か、狐憑き。
昔っからそうよばれててね。ほら、そのお札をかざしてご覧。
お前さんの目なら見えるだろう?
駄菓子屋のおばちゃんはそういって口元を歪めた。
おばちゃんの口にしたように、ここにはいる時貰ったお札を、ここらの人々にかざして見た。
皆人なのだが、一様に耳や尾が生えていて、これが"あやかし"や、"ばけもの"と、呼ばれる存在なんだということは、本能的に理解できた。
きっと、ここの境界線が曖昧なのも、あやかしであって人でもあるこのような存在が闊歩しているからだろう。
しかし、望まぬうちに厄介なことにまきこまれてしまったようだ。
化け狸やら化け狐なら、滅すか、封じて悪さをしないようにすればいいが、この狐憑きは存在自体が危うい上に、滅する理由も封じる理由も、これといってない。
ただ、ここらの土地を闊歩している。それだけだ。
変に攻撃して、末代まで呪われてしまったら、たまったもんじゃないしな。
さて、どうするか……。
よんでくださって、ありがとうございます。