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引きこもり賢者のゲームダンジョン攻略  作者: 古流 望
01章 新しい人生始めました

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03 わたしの求めるもの

 最初にスタートした町は、一言で言えば欧風レトロな商店街といった感じ。スタート地点になっている噴水が町の中心なのか、噴水から八方に道が伸びている。道幅は、割と狭い感じ。車一台なら楽勝で通れても、二台はすれ違えなさそうなぐらいの幅。それぞれの道の両脇に、色んな商店が並んでいて、店の前に物を積んでいるところもある。本当に、昔の商店街って感じだね。

 八方に広がる道ってのも厄介。四方ならともかくその間にも道があるとなると、気を付けないと方向感覚がずれる。これは初見だとまず迷うかなと思いつつ、見回すととても賑やかな通りがあった。方角的には東かな。多分だけど。メインストリートっぽい雰囲気がある。

 見渡した通りには人通りも多く、歩く人も髪から衣装から全てがカラフルで目に優しくない。髪色が自由に変えられるという話だったし、あのカラフル髪色集団は、きっとプレイヤーだろう。

 ピンクとオレンジのツートンカラーの髪色している人なんて、凄い。何せ、それで一番大人しい色合いなのだ。私の言い間違いとかじゃないからね。本当に、原色系ツートンカラーが大人しめの髪色なの。

 派手な人だと、光ってる。

 いや、文字通り光っているんだって。ぴかぴかと。馬鹿じゃなかろうかとも思うけど、ある程度したら光も収まっていたから、何かの設定でああいうことが出来るかもしれない。もしくは光る為のスキルみたいなものが在るのかもしれない。私なんてスキル一覧でのスキル習得過程を丸々スキップして飛ばしてきたから、何が有るかなんてわかってないからね。私の知らないスキルなんていっぱいあるから、光るスキルが有ってもおかしくないの。

 私なら絶対要らないけど、欲しい人も居るんだろうと思う。

 派手好きにはあまり近づかないように、私はメインストリートのお店の人たちに声をかける。

 ハデハデ民はどうでもいいのよ。私には、やりたいことがあるのだから。むしろその為にゲームを始めたといって良い。


 「すいません、図書館ってどこにあるか分かりますか?」

 「ああん?」

 「図書館を探してるんです」


 そう、図書館。

 絶対にあるはずだけれど、どこにあるかを私は知らない。分からないことは人に聞こうと教わってきたからね。

 おっちゃん、教えて。


 「図書館……悪いが知らねえな。他の奴に聞いてくれ」

 「どうも」


 ううむ。

 これは聞いた人が悪かったかもしれない。

 図書館に縁の薄そうな、ガテン系のおっちゃんに聞いたのがいけなかったのだろう。

 もう少し、本と親和性の高そうな、要するに賢そうな人に声をかける。


 「あの、少しお尋ねしますが、図書館の場所をご存じありませんか?」

 「図書館? さあ、分からないな」

 「そうですか。お手数をお掛けしました」


 むむむ。

 これも駄目か。


 私は、図書館の場所を探していた。しかし、聞く人聞く人、みんな知らないらしい。

 なんてことだ。あの素晴らしき施設を知らない人間が居るなんて。これもゲームということなのだろうか。


 屋台で肉を焼いて売ってたおっちゃん。屋台をするぐらいだから町のことに詳しいはず。

 図書館の場所を聞いても、そっけなくされて失せろと言われた。


 通りで宿屋らしき建物の前で掃き掃除をしていたおば……お姉さん。街の噂には詳しいだろうし、事情通なはず。

 図書館なんてあったかしらと首をかしげていらっしゃった。興味の無い人には、とことん存在感が薄い施設だからね、図書館って。

 音楽に興味の無い人がギターショップの場所を知らなかったり、子供に関心の無い人が授乳室の場所を知らずにトイレの場所を教えてしまったり。良くある話ではあるんだけど。

 実際に自分の身に起きてみると、困りものだ。

 あれも駄目、これも駄目、それも駄目。なんてこった。


 ご年配の方なら知っているかもしれないと、ぼんやり日向ぼっこしていたお爺ちゃんに聞いた時は心が折れそうになった。だって、話が通じないんだもん。何を言っても耳が遠いみたいで。

 お爺ちゃん、違うの。私が知りたいのは、図書館の場所なの。お爺ちゃんが若い頃に行った冒険の話とかは要らないの。だから、図書館の場所を教えてってば。


 何人も、何人も、色んな人に聞いて回った。

 それでも、まともに教えてくれる人が一人も居なかったのは、本当に挫けてしまいそうになる。

 というより、くじけかけている。

 最終手段、幼馴染召喚を使おうかと迷うぐらいには。


 「仕方ない。普通は聞かないような相手に聞いてみるか」


 普通の住人っぽいのに声を掛けて、全敗だったのだ。こうなったら、どう見ても怪しくて、住人ではなさそうな人にも聞いてみることにしよう。

 その心当たりはある。

 図書館を探し回って、色んな人に尋ねて回っている時。あそこには近づかない方が良いよと教えてもらった場所が有るのだ。

 故に、あえてそこに行く。ただし、怪しげな場所の奥に行くのは怖いので、手前あたりで何とかしたい。


 尋ねたのは、裏路地と言える場所。

 女の子は近づくと危ないよと言われたところ。


 「すいません」

 「はいよ、いらっしゃい」


 声を掛けたのは、フードで顔も体も全部隠して、地面に敷いた布にガラクタ並べている人間。多分、人間だよね。ゲームだから、実は人間じゃなく他人種ですって話もあり得るかも。まあ、人間と思っておこう。

ただ、露天商にしても、売ってるものがおかしい。破れた籠とか、足の折れた小さい踏み台みたいなものとか。本当にゴミとしか思えないものを布に並べて、建物と建物の間のうす暗い路地に座ってる。

 リアルなら近寄らないな。どう見ても怪しい。

 売ってるものも売ってる人も売ってる場所も売り方も怪しいのだ。怪しいのオンパレード。不審の総合商社ですわ。これで駄目なら、一旦仕切り直すしかないだろう。


 「少しお訪ねしますが、図書館がどこに有るかご存じありませんか?」


 私の言葉に、フードのひとはくくくと笑った。

 いや、多分笑い声だと思しき声を出した。目以外は全然見えないで隠れてるし。恐らく笑ったはず。


 「図書館の場所ね、勿論知ってるとも」

 「ですよね、知りませんよ……え? 知ってるの!?」


 やった、ついに図書館の場所を知っている人を見つけた。

 長かった。二時間は探してたと思う。やっと図書館に行けると思うと、嬉しさに小躍りしそうだ。思わず両手の拳を握ってしまった。


 「ん」


 怪しい露天商が、手を出してきた。

 手袋もしてるから本当に肌を露出したがらない人だな。

 なに、この手。


 「何です?」

 「情報には、対価を貰うことになってるんだ」


 ですよねー。こんな怪しい人が、親切にタダで教えてくれるとか、無いですよねー。知ってたー。

 ちくしょう、結局世の中は金なのか。


 「……そうは言っても、私お金なんて」


 持ってない。そう言おうとした。しかし、言う前に思いとどまる。

 あれ、そういえば大輔が、最初の所持金がどうとか言ってた気がすると。言ってたよね。うん、言ってた言ってた。フードを選ぶと所持金が減るとか言ってたよね。お金、お金。ステータス画面から出せるのかな。どうやってお金を払うんだ。あ、アイテムのタブ発見。

 アイテム欄とかからお金が出せたりしないかな。

 設定画面みたいなものを四苦八苦しながら表示し、悪戦苦闘の末に所持金の表示項目を発見した。

 これを……どうすればいいのだろうか。


 どうやってお金を払うのかと悩んでいたら、目の前に半透明な画面が出てきた。


 『【???】から支払いの要請が有りました。200マニ支払いますか? Yes/No』


 これをYesにすればいいのかな。

 ポチっと。


 Yesの所を軽く触れると、そのまま選択されたようだった。目の前の露天商の手の上に、ジャラジャラとお金が出てきた。

 不思議な光景だけれど、ゲームってこういうものなのだろうか。


 「ふむ、値切りもせずにそのまま支払うというのは偉いね。或いは世間知らずなのか?」

 「世間知らずで悪うございましたね」

 「悪くはないさ。知らないことは恥じゃない。知らないことを知らないままにしておくのが恥なのさ。君は知らないことを知ろうとした。それはとても良いことなのだよ」

 「はあ」


 うわぁ、発言も更に怪しいわ。

 いきなりお説教を始める感じ。上から目線で、それっぽそうなことを言ってくる。

 昔のゲームなら、ここからイベントが始まったりしそうだよね。怪しい、うさん臭さが更にマシマシだよ。


 「図書館の場所だったね。地図を出しなさい」


 地図、と言われても。いや、こういうゲームだと、地図も有るのかな。出せという辺り、持っているのが当たり前っぽいよね。

 早くしてと言われて、設定画面をまた色々触って、何とかマップ表示の項目をONにした。

 視界の端に地図らしきものがでた。オンオフで表示するかどうかを選べるっポイ。

 マップに赤い点がある。この点は、現在地だろうか。地図も割と黒塗りのように見えなくなっているところが多いけど、私が散々歩き回ったところは表示されてる当たり、一回通ったところはこのマップに表示されるんだろう。

 拡大縮小も出来るようだが、この街も結構大きいのか私が表示できるのは一部分だけだ。

 画面には個人マップとあるが、地図というのはこれでいいのだろうか。

 怪しい人が頷く。これでよかったっぽい。


 「ここだ。図書館に入ったら、大声を出してはいけないよ。あと、館内の飲食は禁止になっている。館内の図書は許可のレベルによって読める本が決まるが、君だと恐らく最初の【初級1】だと思う」

 「はあ」


 表示されてる地図の、端っこの方に印が付いた。

 これは……住民の皆さんが、用がないなら近づかない方が良いと言っていた、偉い人エリアの側じゃないですか。大通り一本隔てて別区画になってる、見張りまで居るエリア。まだ黒塗りのところに、図書館ってのが表示された。

 そりゃ、探しても見つからないよ。用も無く近づくなって怒られるんだもん。ってか怒られた。


 「館の営業時間は二十四時間でいつでも出入りできるが、貸出の手続きは昼間にしかやっていない。もし本を借りて持ち出そうと思っているなら、急いだほうが良いよ」

 「分かったわ。ありがとうございます」


 あからさまな不審人物に礼を言って、私は図書館に急ぐ。

 さあ、いよいよ私のゲームプレイが始まるのだ。ふんす。


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― 新着の感想 ―
面白い。勉強になります。
主人公がVRMMOで読書したがる話は最近増えてるんですね〜 以前何処かで、主人公が毒の塔?の 後継者だかになる漫画を読んだことありましたけど、 アレはまだ続いてんのかな…
レベル制なんだ、考えてみれば当たり前かもしれないけど。 図書館を使用しようと思ったら、自分のレベル上げていくなりなんなりしながら、やらなければならないということ? ということは、レベルアップする為にさ…
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