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引きこもり賢者のゲームダンジョン攻略  作者: 古流 望
01章 新しい人生始めました
24/24

24 引きこもりの賢者は、今日もゲームを攻略していく

 目下、49問が終わった。

 危ない所も有ったけど、全員で協力し合ってここまで来た。

 ライバルと呼べる相手も、既にもう一組だけだ。

 46問目あたりから、うちとあちらの一騎打ちの様相を呈している。


 『凄いねえ。じゃあこれが最終問題だぴょん』


 ピエロの声に、緊張が走る。

 順位をどう決めるかはともかくとして、これで最後となれば気合も入るんだろうな。

 相手チームも中々覚悟の決まった顔をしてるよ。

 うちは全部で五人。全員が正解したら、三位以内は入れる確率が高い。

 そして、うちのチームの中の誰かが三位になったら、賞品を交換してくれるというのは事前に約束してあるのだ。レア本は私のもの。

 つまり、ここで正解したら全てが大団円。


 『『ネオフロンティア』のラスボスは、ドラゴンである。〇か×か』


 ピエロが大げさに天を仰ぎながら、問題を口にする。


 「これははっきり、分からんぞ。ってか、分かる奴は制作のトップだけじゃね?」

 「だな」


 このゲームの最後のボスをどう設計しているのか。

 そんなことを知っているのは、制作スタッフだけなのは当たり前。


 「最後の最後で、運ゲーってことか……」

 「あのピエロ、殴れるもんなら一発殴ってやりたい。あの笑いにむかっ腹が立つ。俺たちが右往左往してるの見て、楽しんでやがる」

 「おう、なら俺は一発魔法をぶち当ててやるか」


 今でも楽しそうにケラケラとしている道化師が、腹立たしいというのは分かる。

 私たちの困っている様子が、楽しくて仕方ないと笑っているのだから。

 あれ、絶対性格悪いと思う。


 「なら、どうせ最後だっていうし、半分で分かれないか?」

 「どういうことだリーダー」

 「今までずっとパーティーで居たが……よく考えたら別にパーティー全員が同じ答えにしなければならない決まりは無い。半々に分かれて答えたら、百パーセントどっちかが当たるだろ」

 「なるほど。リーダー天才」

 「ははは」


 ダイの言葉に、ケイオスさんが賛同。ジョージとミカエルさんも同意する。


 「じゃあ、前衛は〇、後衛は×だ。それで分かれて、恨みっこなし。それでいこう。運試しだ」

 「じゃあ、カレンちゃんが当たりそうだね。運極だし」


 私は多分後衛だから、ダイとケイオスさんとは分かれることになるか。


 「うへえ、でも、こういうのはリアルラックも大事だ。カレン、勝負だ」

 「あんたら……本当におバカね」


 最後の最後まで楽しそうにしている我がパーティー。

 本当に、このイベントを楽しんでたんだな。


 じゃあ、私は×に移動しよう。

 ライバルチームも、私たちの動きを見て二手に分かれることにしたらしい。

 まあ、そうすればどっちかは必ず当たるもんね。


 『それじゃあいいかい? 残り五秒、4,3,2』


 カウントダウンが進む。

 その時。

 私は見た。

 ピエロが、僅かに緊張しているのを。動きが一瞬、固まったのを。

 なんだ、嫌な予感がする。

 違う。何かが違う。考えろ。何がおかしい。

 ラスボス。ドラゴン。制作陣しか答えを知らない。

 いや、そうじゃない。

 これの答えは。


 『そこまでぇぇぇ!! 正解は……『どちらでも無い』だああああぁぁ!!』


 「な!? そんなの有りかよ!!」

 「ふざけんな!!」


 怒りに満ちた怒号があがる。

 うちのパーティーメンバーも、いきり立って抗議している。

 最後の最後で、とんでもない落とし穴を用意してやがったな、道化師は。


 『我が『ネオフロンティア』は、果て亡き物語。終わりなく続く、もう一つの人生。君たちにとって最後になるボスがドラゴンであるかどうか。それは、誰にも分からない。そう!! それが!! ネオフロンティア!!』


 ピエロが、快哉をあげる。


 『そして正解者は……たった一人!! さあ、こちらへ』


 ピエロの言葉と共に、たった一人が一番目立つ場所に転移させられる。

 それは、誰あろう。良く知った人物。


 『第一回大規模イベント第一位。それは彼女。『【賢者】カレン』だあああああ!!』


 そう、私である。

 最後のカウントダウンの瞬間。私は咄嗟に〇でも×でもないエリアに飛び出していたのだ。考えてのことでは無く、反射に近かった。


 あとごめん。

 称号も含めて名前を強制的に表示させられた。全観客に向けて。全プレイヤーに向けて。

 やっぱり、道化師殴るの、私がやっていい?


 その日、ゲーム内で新たな有名人が生まれた。

 引きこもりの賢者は、今日もゲームを攻略していく。





これにて第一章結。

ここまで読んでいただきありがとうございます。


引き続き書き進めていこうと思いますが、次回の更新までは少し間があくでしょう。


本作を面白いと思って頂けたなら、是非とも評価、お気に入り登録などよろしくお願いします。

また、SNSでの作品紹介も行って頂けると作者としては嬉しいです。


では引き続き、よろしくお願い致します

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― 新着の感想 ―
第二章楽しみ〜 それはそうと、強制開示は絶対トラブルの元になるな 補填問題だろ 粘着されるだろうなぁ
強制での称号と名前の表示はコンプライアンス的に問題では? イベントの参加規約とかに申し訳程度に書いてあれば問題無いかもだけど……。
なんてトリッキーな!! 怒っても良いんじゃないかなこれ? 名前称号全部バレってなんの罰ゲーム?! 第二章お待ちしてます。
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