02 ゲーム開始
『ようこそネオフロンティアへ』
初期設定を色々と終え、いよいよゲームを開始する。
最初に色々と設定する項目があったけど、出来るところは全部スキップ。任せられるものは全部規定値。デフォルトのままで押し通した。
一刻も早く本が読みたかったので。
ゲームを始めると、最初に立っていたのは噴水の前だった。
周りには既にプレイヤーと思しき人たちがいっぱいいる。
いや、本当にプレイヤーかどうかは分からない。動作がとても自然で、人間としか思えない動きのキャラクターという意味だ。
頭の上に、半透明のウィンドウが表示されている。四角い板状のものが頭の上にあるのは違和感ありありだが、これがゲームと思えばそれも仕様かと納得も出来る。
ウィンドウには名前らしきものが書いてあるから、私の頭の上にもきっと有るのだろう。自分では見えないけど。
たまにウィンドウが無い人も居るから、それが多分NPCって奴なのかな。ノンプレイヤーキャラクター、だったっけ。ゲーム内のAIで動くキャラ、のはず。
「さて、あのバカを探さないと」
私はゲームには不慣れ。
こういう時に頼りになるのは、ゲームに詳しい幼馴染である。
何より、このゲームに誘ってきたのはあいつなのだから、最初にレクチャーをするぐらいは義務だと思う。
ゲーム始めたら、しばらくスタート地点で待っていろと言われていたんだけど。
周りを見渡しても、それっぽい馬鹿面は見えない。
5分ほどじっと待っていた時。
「ねえ君、このゲーム初めて?」
「え?」
なんか、話しかけられたんだけど。
声をした方を見ると、半端に不細工な男が居た。
ゲームならイケメンキャラにすればいいのに。大輔より不細工じゃない。
「俺さ、このゲームはβテストの時からやってるβテスターって奴でさ。詳しいよ。教えてあげようか?」
なんだこいつ。
やたらと話しかけてくる。
ナンパ野郎だと思うと、気持ち悪いな。生理的に受け付けないタイプだし、ぐいぐい来られても恐怖しかない。
「結構です」
ここはきっぱりと断る。
あいまいな態度が一番駄目だって誰かが言っていた気がするし、付きまとわれても迷惑だし。
「まあまあ、そう言わずにさ。そうだ、俺とパーティー組まない? フレンドコード交換しようよ。良いクエスト知ってるんだ。一緒にやろうよ」
何を言っているのかがよく分からない。多分彼の中では意味が通っているんだろうが、ゲーム初心者の私には雰囲気でしか分からないのだ。
困った。こうも絡まれると、鬱陶しく感じてくる。現実世界なら通報の一つもすれば良いんだけれど、ゲームだと警察も無いだろうし、困った。
あっち行って欲しい。出来れば私が立ち去りたいところなのだが、ここが待ち合わせ場所でもあるし、動きづらい。ああ、気持ち悪いよ。
「その辺にしとけよ。そいつは俺の連れだ」
「あ゛あ゛?」
変なのに絡まれていたところで、聞き覚えのある声がした。
声のした方を見れば、見慣れない超絶イケメンが居た。なんだこの美男子。どこのアイドルかと思ったわ。
「カレン、お待たせ」
「……大輔か?」
「おうともよ」
「声は一緒だから、何とか分かったけど。見た目とのギャップが凄いね。何それ」
「ははは。お前は見た目そのまんまだな」
見た目が変えられることを、今知ったよ。
もっと早く教えておけバカ。知っていたら絶世の美女か傾国の美女になってたよ 。
「おい、俺を無視してんじゃねえ」
さっき絡んでた変な奴が、ぎゃあぎゃあ騒いでる。
え、見た目が変えられるのに、この顔なの。βテスターとかなんとか、いかにも上級者っぽいこと言ってたのに。それでこの見た目って、縛りプレイってやつなのかな。不細工縛り?
無いわぁ。これで女の子に声かけるとか、無いわぁ。せめて眉毛の手入れぐらいしてないと。毛虫じゃん。
人を見た目で判断するなとか言われたとしても、無いわぁ。生理的に受け付けない顔してるんだもん。第一印象がキモイのはどうしようもないと思う。
私が嫌がっているのが分かったのだろう。大輔が察して、間に入ってくれた。
「うるっせえな。ナンパなら他に行け。こいつは俺の連れだって言ってんだろ。このゲームのことなら、俺が教えてやれる。失せろ」
そうだそうだ。いいぞ大輔。言ってやれ言ってやれ。お前、やるときはやるじゃん。
「はぁ? お前より俺の方が良いに決まってるだろ。俺はβテスターだぞ!!」
「それがどうした。お前、俺のことを知らねえってんなら、攻略プレイヤーじゃねえだろう」
「なっ!?」
攻略プレイヤー?
βテスター?
さっきから、知らない言葉ばかりだ。攻略プレイヤーとかどういう意味だ。攻略するプレイヤーというなら、全員そうじゃないのかな?
言葉のニュアンスからすれば、上級者って意味なんだろうと思うけど。推測するに、人より先に進んでるプレイヤーってことなのかな。
廃人ってやつとどう違うのか分からないけど、多分あってそう。
「俺はプレイヤー名『ダイナソー』。βでの二つ名持ちだ。分かったら、失せろ。付きまとい行為で通報すっぞ」
大輔が、ナンパしてきたキモ男に凄む。相手がひるんだところをみると、大輔は割とガツンと言ったんだろうと思う。
通報っての、あとでやり方教えてね。
「……くそっ!! 覚えてろ!!」
「覚えるか馬鹿。三秒で忘れるわ」
変な奴は、噴水の側から離れていった。
最後までこっち睨んでたが、本当に変わった奴だった。あれじゃあ、絶対ナンパは成功しないな。ついていく女子の顔が見てみたいよ。
「お前、なんでその恰好にしたんだ? それじゃあナンパされるに決まってるだろ」
「何が?」
変なのが去った後、大輔が私にしかめっ面を見せてくる。何か不満があるときの大輔の顔だ。こんなことまで再現できるとか。流石は最新ゲーム。クオリティが凄いね。
で、私の格好がどうしたって。
「え? ……ああ、そっか。お前、設定全部、規定値のままで始めたな?」
「よく分からないから、適当にしてた気はする」
「ああ、そう。はあ、そうだよな。お前はそういう奴だった」
でかでかと、ため息をつく大輔。
失礼な奴だね。幼馴染じゃなきゃ嫌われてるところだぞ。私じゃなきゃ愛想つかされてるぞ。やれやれ。私も溜息を返しておいた。
「なんで絡まれたか説明すると、だな。まず、このゲームは性別を弄れない」
「そうなの?」
「弄ると身体の感覚やバイオリズムが変わって悪影響があるとか何とか……」
「ふぅん」
女性と男性は骨格からして違うというのは保健で習った覚えがある。第二次性徴期から違いが顕著になるんだったっけ。骨盤の形が男女で全然違うってのは、何かで見たような気もする。なんだっけ、喉仏は隠せても骨盤の形は隠せないから、専門家が見れば女装は遠目からでもバレるだったか何だったか。テレビ番組だった気もするし、何かの動画だった気もするけど、覚えてるのはうろ覚え。間違っていないとは思うけれど。
身体を動かすのに、骨格から変えてしまったりすれば確かに変なことになりそう。男の身体で動かして、それに慣れたら現実でも変な動かし方するとか。あり得そうだよね。
リアリティがあり過ぎるゲームだと、変なところで融通が利かなくなるんだね。つまり、私がリアルでも女だってのは、どうあっても弄れないのか。
残念。男のふりするとか、ちょっと面白そうって思ってたのに。
ということは、女の子になり切る男ってのも居ない訳か。ネカマ、だったっけ。ああいうのもいないと。それはゲームのリアリティ的に良いのかな。男女比偏りそうだけど。男だらけのゲームか。
私としては関係ないんだけど、気にする人は居そう。
「んで、体型や身長も大きくは弄れない」
「そうなんだ」
さっきの性別の話と同じ理屈かな。骨格から変えてしまうぐらい体型が変わると、違和感が凄そう。
身長3mぐらいある人とか、ちょっと見てみたかったけど。残念。
それで大輔も元と同じような身長なんだね。納得した。
「まあ、少しやせ型にするとか、多少マッチョにするとか、身長を少しだけ高くするってのは出来るらしいな。現実世界で変化しうる程度ものは、割と弄れる方らしい」
「身長まで変わるの?」
「そりゃ、中学生だの高校生だのがやってりゃ、伸びることも有るだろ」
「ふぅん」
中学生男子とか、身長の伸び凄いもんね。
誰だったかに聞いたけど、夜寝るときと朝起きた時で身長が違ってたとか。寝るとき関節が痛くて仕方ないとか。誰が言ってたんだっけか。
あ、目の前の野郎だったか。
「大きく弄ろうと思うと、医療機関の診断書と本人の同意書が要るらしいぞ」
「医療機関? 何でよ」
「身体的欠損……生まれつき足が無いとか、そういう人が感覚変わっても大丈夫って医者が判断するらしい。あと、リハビリ目的ってのも有るらしいぞ。よく知らないが」
「割と凄いゲームなのね」
「まあな」
医療機関でも使われることを想定しているって、割と凄いことだと思う。
保険適用とかされるのかな。リハビリにも使われるなら、もしかしたらこのゲームで運動神経も良くなるかも。ゲームの中でバク転練習しておけば、現実でもバク転できるようになるとか。これだけリアルな世界なら、あり得そう。ゲームの中なら首の骨を折って大けがする心配なんてのも無いだろうし、危険なことでもチャレンジしていけるかもしれない。というより、本来はそういう方向に技術を利用していくものなんだろうね。現実だとリスクのある動きも、恐れずに出来るようになる。リハビリもその一環なのだろうと思う。
ちょと前向きにゲームを楽しめそうだわ。
うんうん。
「弄れるのは、顔形や髪の色なんかが変えられるんだったかな」
「それだけ変えられるなら、大分印象が変わりそうだね」
「俺は、髪を弄ったぐらいだな」
「え? 嘘ぉ」
絶対、美形にするために弄ってると思ったんだけどな。
よく見たら、顔形のパーツは見慣れたやつだったわ。
髪型と髪色変えるだけで結構印象変わるね。サラサラの茶髪とか。あんたなにやってんの。一気に雰囲気が変わって見えるよ。本物は黒髪の癖っ毛の癖に。天パとからかわれて、私が庇ってやったの、今でも覚えてるんだから。
しかも、いつもは寝ぐせまで付いてるだろうに。
よく見ると、肌もツヤツヤになってるな。ゲーム内だからニキビもニキビ跡も無い、テュルンテュルンのスベスベ肌じゃない。そりゃ印象も変わりますって。
これだけ変わるんなら、あんた普段からスキンケアしなさいよ。
「まあつまり、お前のキャラを見れば、リアルでも女子ってのが分かる。年齢は弄れないから、若い女の子ってのが一目瞭然な訳。むしろ若すぎるぐらいに見える。な? ナンパされそうだろ?」
「……何それ」
童顔に見えるってか。
こいつ、喧嘩売ってるなら買うぞ。おばさんに言って、晩御飯をシイタケとピーマンだらけにしてもらうことも出来ると思い知らせてやらねば。
「だから普通は、初期設定でマントやクロークを有りに設定して体型を隠したり、フードで顔を隠したりすんだよ。女子は特にな。初期の所持金が減る代わりに、色々と小道具を持ってスタート出来る」
「面倒くさ」
女の子って分かると声を掛けてくる奴がいるから、隠せるようにしてスタートするってことね。そこまでしないといけないとか、どういうゲームよ。
「リアリティあるだろ? だからまあ、お前の場合は最初に体型や顔を隠すものを買った方が良いかもな。馬鹿な出会い厨が寄ってくるぞ」
「出会い厨?」
「ゲームの中でナンパして、現実で会おうとしてくるようなヤカラだよ。どうしても鬱陶しい時は、運営に通報するといい。悪質な行為はBANされる」
「BAN? 通報?」
あ、そうだった。
その通報とかいうやつ、やり方教えてよ。
「通報のやり方は設定画面を開いて、通報ボタンを押すだけだ。通報前後の記録から、悪質と思われる行為が有れば該当するプレイヤーはゲームが出来なくなる。ゲームアカウントの強制削除をBANって言うな」
「ふぅん」
設定画面というのは色々と切り替えられる。タブ形式というのだろうか。切り替えるのは直感的に出来そう。
ステータス画面。これは自分のステータスが見られる訳か。私は、1項目以外は全部初期値。
目の前の幼馴染に事前に聞いていたのは、このステータスで個性が出せるって話。
自分のプレイスタイルにあわせて、ポイントを割り振る。ポイントはスタート時に貰えるものと、レベルが上がるごとに貰えるものとがある。
項目は全部で十三項目。生命力(HP)、行動値(SP)、魔力値(MP)、物理攻撃力、物理守備力、魔法攻撃力、魔法守備力、状態異常付与力、状態異常抵抗力、敏捷力、命中力、回避力、そして運。
前に出て敵をぶん殴るスタイルの人は生命力や物理攻撃力、物理防御力なんかを重点的に上げる。味方に守られながら魔法ぶっ放すスタイルの人は、魔力値や魔法攻撃力なんかをあげるといい、らしいよ。よく知らんけど。
スキル一覧。これは自分が取得している特殊技能を整理できる項目らしい。魔法とかぶっ放せたら気持ちいいんだろうな。爆裂魔法とか有るかな。
スタート時点で何十何百とある膨大なスキルの中から、一つ選べる。これは後からでも選べるってことだったから、私は保留中。
取りあえず適当にゲームで遊んでみて、少しでも慣れてから選ぼうと思ってる。
回復の出来る魔法を選んで僧侶プレイとか、回避系の技能を取得して忍者プレイとか、鍛冶系スキルで偏屈ドワーフプレイみたいなことが出来るらしいよ。受け売りだけど。
他にも、アイテム項目では持ち物が色々操作出来た。私の持ち物、最初は初心者用ポーションが五つだけ。レベル5までは使えて、あとは効果が無くなるポーションらしい。へえ、こんなの有るんだね。もし選択していれば、顔を隠せるフード付きの衣装や、初心者用の武器なんてのも貰えたらしい。まあ確かに、弓矢持って狩人スタイルでプレイするぜ、みたいな人は、最初に弓矢持ってなかった何も出来ないだろうし、スタート時点に初期装備ってのは何となく分かる。
最後の方にセッティング項目がまとめてあった。痛覚設定とか何やらかんやら色々と設定項目やチェックボックスみたいなものがあるけど、その中に運営に通報するボタンがあった。
なるほど、これを押せば通報出来る訳ね。
「あ、馬鹿、今押すな!! 俺が通報されたことになるだろ」
「ちっ」
「お前、今舌打ちしやがったな」
押そうとしたら、大輔に止められた。
通報できるなら、さっきの変な人の時にしておけばよかったかな。次から変な人に絡まれたら、迷わず通報することにしよう。
だから練習練習。……押さないってば。大丈夫よ。
「あ、そうだ。べーたてすたぁっていうのは?」
なんだか偉そうにしてたけどね。さっきのキモいの。俺はべーたてすたぁだぞって。
意味が分からない私にしてみれば、何をドヤってるんだって気になる。ドラッカーだかアインシュタインだかの偉い人が言っていたよ。人の価値は肩書じゃないって。訳の分からない肩書で威張るより、中身を磨いた方が女の子には好印象だと思うけどね。
中身も駄目っぽかったけど。
「このゲームに限らずだけど、正式稼働前に本番に近しい環境でやるテストをβテストって言ってな。実際に本格稼働させる前に、お試しでそれなりの人数を集めて試させる。んで、それに参加していたプレイヤーをβテスターって言うんだよ」
へえ、そんなものもあるんだね。
お試しプレイをしていた人たちがβテスターか。
「βテスターだと、何が違うの?」
「βテスターは本番稼働にあわせてキャラクターのデータをある程度引き継いでスタートできる。所持金とかな。本番前にある程度情報も持ってるし、普通に始めるより一歩先んじて始めた存在だ。このゲームの常識にも詳しい。狩場の情報とか、スキル構成のやりかたとかな」
お金沢山持ってスタート出来るって、何それ。ずるじゃん。
そりゃ、自慢したくもなるか。普通に今日から始める私みたいな人間より、一歩二歩先んじてゲームを進められるなら、きっと優越感が有るんだろうね。
「大輔もそのβテスターだったのよね?」
「おう。その中でも中々に有名人だったんだぜ? 先行プレイのお手本だ」
幼馴染のドヤ顔がうざい。鼻が五センチぐらい伸びて見える。
こいつのゲーム好きは今に始まったことでは無いけれど、最新ゲームの先行プレイなるものまで手を伸ばしていたとは。
おばさんに報告することが一つ増えたね。シイタケとピーマンだけじゃなく、なすびも付けてあげないと。あとセロリも付けてあげてって言っておくか。
肉抜きまでお願いするのは、流石に可哀想かな。
「フレンドコードってのは?」
「ゲーム内で知り合いと相互に連絡取れるシステムをフレンドチャット……略してチャットと呼ぶんだが、チャットの連絡先をフレンドコードという。略してフレコな。通話機能もあるし、文字情報をやり取りするだけでも良い。設定項目で変えられるからな。まあ、電話番号やSNSのアカウントIDみたいなもんだ。それを交換しておくと、お互いに連絡が取れるようになるし、ゲーム内に居るかどうかも分かる」
「ふぅん」
まあ、それは分かりやすい。
今日も大輔と落ち合うのに面倒くさかった。メッセージ一つ投げておくだけで連絡が取れるなら、楽でいい。便利なものは使えるようになるべきだね。
あ、ステータス画面のタブを切り替えてたらフレンド一覧ってタブがあった。これか。
「どうやって使うの?」
私のフレンド一覧、完全に空白。何もナッシング。そりゃそうだろうと思うけど、これだとフレコもチャットもよく分からない。教えて大輔。
「じゃあ、ついでにフレコ交換しとこう。いつでもチャットできるようになるぜ」
「オーケー。よく分からないけど、何かあった時に連絡できるようにしておくってことよね」
「そうそう。困ったことが有れば、いつでも連絡しろよ。俺からも連絡することが有るかもしれねぇし、使い方には慣れとくと良いぞ」
「うん」
私は、チャットの使い方を色々と教わった。通話もやり方を教わったし、新しく連絡先を登録するやり方も覚える。
最初の一人目は大輔。お前、もっと喜んでいいぞ。
たった一人だけのフレンド一覧に、私はとても満足だ。うん、これで少しゲームに詳しくなったな。
「それじゃあ、ゲームを楽しめよ。俺はこれからひと狩り行ってくるぜ。初ハントだ」
「バイバイ」
大輔のフレンドコードはダイナソーって名前になってた。
ゲーム内での名前なのだろう。面倒くさいからダイちゃんと呼ぶか。小学校ぐらいまではそう呼んでたし、間違えることもなさそうだし。いっそ、ダイって呼び捨てにするか。
「ゲームってのも色々面倒なんだねぇ」
周りを見れば、プレイヤーと思しきキャラが、忙しなく動いている。
スタダ決めるぜとか、攻略プレイヤーになるとか、色々騒いで忙しそうだ。
ダイちゃんもあれの仲間かと思うと、大変そうだと思う。
そして他ならぬ私としては、最初にやらねばならないことを決めている。
「よし、図書館を探すぞ」
まだ見ぬ読書が私を待っているのだ。いざゆかん、未読の園へ。




