19 参加表明だって
夢見草がそこそこ集まった段階で、一旦ワーホリさんともにか姉さんのペアと合流する。
「こっちは六つっきゃなかった。この依頼、思ったよりドロが渋いぞ」
「あらそう? こっちは二十は採れたけど……」
「なんでそんなに採れてんだ!?」
「カレンちゃんのお陰かもね」
リカさんとワーホリさんがわいわい言ってるけど、私は自分のお陰で採れたとは思ってない。
「リカさんの先導と戦闘力が凄かったからじゃないですかね? 私、本当に見つけたものを拾ってただけなので」
目につくものを引っこ抜いていただけだし、リカさんが強かったから私は安心安全だった。
ぶっちゃけ、私の立ち位置は私以外でも務まるけど、リカさんのポジションは替えが利かない。なら、沢山見つけられたのはリカさんの功績だろう。
全面的にリカさんのお陰であると、私は精一杯アピールした。
「カレンちゃん、いい子だねぇ」
「もにか姉さん、頭を撫でられるような年じゃないですよ、私」
「いいこいいこ」
「聞いてませんね……」
もにかさんが、私の頭を撫でてくる。
それって小学生ぐらいの子にやることだと思うんですけど。まあいっか。
「取りあえず、ギルドで鑑定してもらってくるね。カレンちゃんはワーホリと一緒に居て。私はもにかと行ってくるから」
「はい」
ダンジョンから出て、喫茶スペースのようなところで待機することになった。
ワーホリの姉御が、周りに睨みを利かせてくれるから変なナンパも来なさそうだな。こりゃいい。
しばらく、ワーホリさんと駄弁っていると、私を呼ぶ声がした。
「カレンちゃん、カレンちゃん!!」
「はい?」
「ワーホリも一緒に、ちょっと、ちょっと来て!!」
なんだかリカさんが慌ててる。
もにか姉さんまでわたわたしてるから、何かあったのだろうか。
「何がありました?」
私が聞くと、リカさんが真剣な表情になってる。
「ちょっと別室に行こう。良いわよね?」
「はい」
ギルドの奥に、個室があるらしい。
そこに連れていかれたところで、リカさんが大きなため息をついた。もにか姉さんが常以上にほわほわとしてる。
「カレンちゃん、これはマナー違反なのを承知で聞くんだけど……幸運値、幾つ?」
「え?」
「カレンちゃんが摘んだ夢見草ね……半分ぐらい夢見草じゃなかったの」
「え? そんなはずは無いです。鑑定で確認しましたもん」
鑑定さんが嘘つきでない限り、私が摘んだのは夢見草だ。それは確信を持って言える。
「半分ぐらいが変異種。全部で十二株が、変異種だったの。二十一株中十二株よ。夢見草の採取率の高さから言っても、相当に運にステ振りしてないとこの結果にはならないはずなの」
「……まあ、運極気味ではあります」
「やっぱり」
気味というか、運以外には一切振ってない。
超極振りが私だ。
「ということで、クエストが二回クリア出来た上に、余った素材も買い取ってもらえることになったの」
「じゃあ、貢献度も?」
「ギルドへの貢献度というなら、最上級の評価を貰えるでしょうね。それもクエスト二回分」
「わあ、やった」
お金は正直どうでもいいけど、貢献度がいっぱい貰えるのは嬉しい。
新作コーナーが近くなる。
あともにか姉さん。頭撫でるのとめて貰って良いですか。
「お陰様で、私たちも装備を更新できそうよ」
「おめでとうございまぎゅえ」
リカさん、リカさん。ハグは嬉しいけど、苦しい。凶器で窒息する。
ぽんぽんと腕をタップして、放してもらえた。このゲーム、窒息まで再現するのか。色んな意味で凄い経験したわ。
「ありがとう……これで、準備万端で臨めるわ」
「……何にですか?」
リカさんも、ワーホリさんも、もにか姉さんも、何やら滅茶苦茶気合が入ってらっしゃる。
「全員参加型の大規模イベント。ゲーム開始後、最初の運営イベントになる『スタートダッシュイベント』よ。豪華景品があると告知されているの。私たちも、豪華賞品、狙っていくわよ!!」
「「おお!!」」
リカさんの檄に、残る二人が応える。
リカさん、リカさん。一応の確認をしておきたいんですが……。
私たちの中に、カレンちゃんは含まれてませんよね?ね?