18 素敵な大発見
「リカさん、夢見草、あったよ!!」
「お、やったね」
幾度かの鑑定の結果。
ようやく夢見草を発見した。等級は八等級。下から三番目。どこにでもあるって程じゃあないけれど、レアって程でも無い。探すと見つからないけど、探してない時はちょくちょく見かける。そんなレベルのレアリティ。
「でも、集めるのってこれで良かったんですか?」
「ん?」
「確か、集めるのは『夢見草の変異種』ですよね」
「そうそう。よく覚えてたわね」
「ども」
これでも記憶力は良い方なのです。一夜漬けのカレンとは私のことだ。わはははは。
「カレンちゃんはそもそも、変異種って言うのが何か知ってる?」
「はい、本で見ました。通常のものから、イレギュラーとして極稀に発生するものですよね」
ダンジョンで、ごく普通のものが極々稀に突然変異を起こす。アルビノのカラスみたいなもんだよね。
「そう。その極稀にってのが難物でねぇ……変異種が本当に変異種なのか。知識が無いと鑑定に現れないんだよ」
「そうなんですか?」
「『鑑定』も魔法スキルだから、スキルレベルがあってね。低いレベルだと完璧な鑑定ってのが出来ない。だから取りあえず怪しそうなものは全部集めておいて、後で纏めて高レベルの鑑定師に依頼するつもりなのよ」
「なるほど」
じゃあ、取りあえずいっぱい集めておくか。
夢見草、夢見草……あれもそうだな。
「危ない!!」
私が薬草採取の為にかがんだら、そのすぐ後ろにいつの間にかモンスターが湧いていた。
うっそでしょ。こんなに不意打ちされるなんて!!
「『居合初伝 抜刀』!!」
あっという間だった。
湧いたのも突然だったが、首ちょんぱされるのも突然だった。
リカさん凄い。
「……凄い!! 強いですね!!」
「そ、そう? 私なんてまだまだよ? 大会で十人抜きして優勝するような人からすれば、私なんて三回戦レベルで……」
「そんなことないです。私の中ではリカさんが一番ですから」
言ってることは間違っていない。
私の知っている限りでは、今のところリカさんが一番強い。間違いない。嘘はひとかけらも言っていない。
一つ、私が発見したことがある。
偉大な発見だ。
コロンブスのアメリカ大陸発見も、マゼランの世界一周航路発見も、この発見の前には業績が霞むだろう。
照れているリカさんは、とても素敵だということである。