17 リカさんと冒険
ダンジョンでは、いつ敵に襲われるか分からないらしい。
気づけばすぐ傍に湧いていることもあり、安全地帯などと言うものも存在しない。
よって、単独行動は厳禁。だそうだ。
一人で居ては、つい今さっき何も無かったところに突然敵が湧いて不意打ちを食らうこともある。熟練の戦士でも防ぎようの無いことなので、常に監視し合う仲間が居ることは絶対条件。とのこと。
なので、三人で行動しているパーティーだと、ふた手に分かれるということが出来ない。最低でも四人居ないと、二組に分かれるのは危険だ。
「カレンがいてくれるから、手分けして探せるのよね」
「戦う力は有りませんけど」
「それは別に私がやるから、構わないわよ。前に一度試した感じだと、三階の相手ならほぼほぼソロで倒せるから」
「頼もしいですね」
「えっへん。お姉さんに任せなさい」
リカさんが、誇らしげに胸を張る。
凄いな、アレ。和服から今にも飛び出しそう。このゲームで体型は大きく弄れないって話だから、天然でアレか。
そりゃ、下手にその辺に居る男とは組めないよ。女同士で組むしかないとなれば、固定パーティーでって話になるよね。うん、ありゃ同性の私から見てもどえらい武器だ。音が聞えてきそうだもの。ぶるんぶるんって音。
肩こりするだろうなあ。
「カレンちゃんが採取。その間、私が周囲の警戒。接敵したら、カレンちゃんは私の後ろに。倒すのは私がやるからね」
「はい」
私は初心者なので、全面的にリカさんの指示に従う。
しばらく三階をうろついていると、結構な頻度で草が生えていることに気づいた。
『鑑定』
私は初期になんのスキルも持っていなかったので、スキルポイントが5ポイント丸々余っていた。レベルアップ後のスキルポイントも全然使ってない。
なので、この機会に『鑑定』の魔法スキルを取ることにした。本の背表紙だけでも何の本か分かるとお得だと思ったし。
取ってみて、これがまた便利便利。五メートルぐらい離れたところからでも、狙ったものの情報を取得できる。
勿論MPは消費するが、それも自然回復で賄えるので、実質使い放題だよ。
『回復草 10等級』
鑑定の結果が見えた。
「残念、外れだったよリカさん。回復草で10等級」
「最下級の回復草なら、摘んでおけば小銭になるわよ。すりつぶして水に混ぜると、最下級のポーションになるらしいから。HP回復量が1~3の、気休めのポーション」
「それ、売れもしないですよね」
最初に配られてる初心者用ポーションより使えない。回復の為に飲んでたら、お腹がたぷんたぷんになりそう。
きっと、高く売れるものでもないだろう。
「まあね。ギルドに売っても、1マニとかよ。百束集めて、屋台の串焼きが買えるかな」
「割に合わなすぎません?」
「だね。さあ、頑張って夢見草を探そう」
石畳っぽい地面の、畳の隙間というのだろうか。石の板と板の間から、時々にょきっと草が生えてるんだよね。気にしていなかったら雑草にしか見えないんだけど、ダンジョンの中の草って、魔力的な何やらかんやらで大抵は薬草なんだって。本によるとだけど。
勿論、毒草も有るし、たまに外れの草もある。狗尾草って鑑定で出たからさ、何かの薬草かなって思って摘んでみた。ただのねこじゃらしだった 。こいつは本当、どこにでも生える。真っ暗なダンジョンの中なら光合成も出来ないだろうに、なんで生えてるんだか。
リカさんとのダンジョン探索は、順調に進んだ。




