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隣の席の美少女だけ、俺の“無自覚最強”を知っている  作者: ITIRiN
バレンタイン告白と、ふたりの距離

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96【陽】没収チョコと恋人宣言

(友達として忠告してくれるのはありがたいけど、人の彼女を試すみたいな真似はやめてほしいんだよな。主に、どうフォローすりゃいいのか分からなくて困るから)


ということで悩んだ末、取りあえず手を繋いでおけば何とかなるだろという安直な結論に至った俺は、自分の右手で彩乃の手を握りつつ、照れ隠しに紅茶をひと口。


「校長はご大層なこと言ってたけど、実際は単純に“俺が他人の声を聞きたくないから”ってだけだ。だから気にすんな」


だいたいさ、なんで俺がわざわざ――親に買ってもらったスマホやPCで悪口書き込んでイキってるガキとか、自分で稼げる年齢なのにネットだからって好き放題言ってる大人に――時間を割かなきゃいけねーんだよ。


『お前のことだぞ‼』


……なんてね。


「あと単純に、読者やネットの声に引っ張られるのが嫌なんだよ。売り上げ気にしてモチベが上下すんのも困るし」


「素直に『一番の理由は、下手にエゴサして余計なプレッシャーを感じたくないから』と言えばいいものを」


「おい、人の株を下げるような発言はやめてくれません?……これで彩乃にフラれたら、絶対お前のせいにするからな!」


「それは困るなぁ。……佐々木君、先に言っておくけどイチは女の子の扱いなんて全然知らない。仕事では背負ってるものが大きすぎて、ここまで持ちこたえてるのが不思議なくらい面倒くさい男だ。でも、私が立場を抜きにしても友達でいたいと思えるくらい“いい子”でもある。だから――よければ、ずっと隣で支えてやってくれ」


さっきまでの厳しい忠告とは真逆。まるで俺の爺ちゃんみたいなトーンで校長がそう言った瞬間、黙っていた彩乃が俺の手をギュッと握り返してきて。


「お生憎、私は付き合っていく中で彼氏の嫌なところやダメな部分が見えたとしても、そこで『嫌い』になって終わるタイプじゃない。その部分を私色に染めていく……もちろん気まぐれじゃなく、ちゃんと相手のことを考えたうえで、です。ですのでご心配なく。――というわけで、さっきあげたチョコはは没収ね♪」


「はあっ⁉ おい待て待て待て! まだ三つも残ってるんだぞ!」


「私、渡すときに『せめて二日に分けて食べな』って言ったよね?」


「………………」


「いっ・た・よ・ね?」


「言った……ような、言わなかったような……いや、たぶん言った……かもしれない……です」


「あはははは、佐々木君がここまでしっかりしているのであれば、少しは私も安心できそうかな」

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