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隣の席の美少女だけ、俺の“無自覚最強”を知っている  作者: ITIRiN
バレンタイン告白と、ふたりの距離

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89【陽】世界一甘い告白は、バレンタインに

咄嗟に出た割には結構面白かったと思うのだが、彩乃的には微笑ましく映ったらしく――笑うというよりは優しい笑みをこちらに向けてきた。まあ、白けるよりはずっといいだろう。


「それで用事ってなんだ? 今からどこかに遊びに行くっていうなら悪いけど、一回銀行に寄らせてくれ」


俺は真面目に訊いたつもりだったが、彩乃からすれば意味不明だったらしく、きょとんとした顔で訊き返される。


「えーと、ひーくん、ちゃんと私のL○NE読んでくれた?」


「あん? そりゃ読んだからここまで来たんだろ」


「……もう一回最初から読んでもらってもいい?」


(はあ? 悪いけど俺はそこまでボケてねぇよ)


彩乃:《どうしても今日中に渡したものがあるから、いつもの教室に来てくれると嬉しいんだけど。来られそうかな?》


「ちょっと気付かないうちに頭がボケ始めてたみたいだから、病院行ってくるわ」


「本当は?」


「ちょっとスマホが壊れてるみたいなんで、春休みに買い替えときますわ」


「ほ・ん・と・う・は?」


「……今年もチョコなんて一個だろうと思ってたから、脳内で勝手に変換されたんだと思う」


(別にだからって、彩乃から貰えるかも? なんて勘違い童〇みたいなことは一ミリも思ってな――)


「じゃあもう一つだけ質問。もし私が、ひーくんが思っている以上にあなたのことを知っていて、そんなあなたが好きになったから『私と付き合ってほしい』って言ったら……どうする?」


「彼女どころか、まともに友達すらいないようなぼっちが何言ってんだって思うかもしれないけど、俺は――お互い相手のことをよく知らないまま付き合って、すぐ別れるようなことはしたくない。だから──」


「それも知ってるよ。だって私、飛行機の中で行われていた明日香とひーくんの会話を全部聞いてたもん」


(この子、寝たふりしてただけじゃなくて、最初から明日香とグルだったな)


「それを知ってて俺に告白してきたってことは、それだけ自信があるのか? って聞くと上から目線みたいになるけど……正直に言えば、俺は彩乃のことが女として好きだし、めちゃくちゃ付き合いたいと思ってるんだ」


「付き合い始めてから『やっぱり違う』ってなって、恋人としてだけじゃなく友達としてもいられなくなるのが怖いんでしょ? でも私は、さっき言った通りひーくんが思ってる以上にあなたのことを知ってるよ」


そんな言葉に続けて、彩乃は――

「それは知ってても不思議じゃない」から「なんでそこまで⁉」としか思えないことまで、俺のことを次々と語り続ける。


「あとはね――一之瀬陽太っていう男の人は、相手にウザがられるかもって心配しながらも、ちゃんと定期的に『今ここにいるよ』って連絡してくれるの。しかもそれは、告白されるかもって下心からじゃなくて、相手が安心できるようにっていう優しさで。そういうカッコいいところがあるのに、やっぱり不安で明日香に相談しちゃう可愛いところもあって……。遊びの誘いだと思い込んでたのに、予定より一時間半も早く帰ってきてくれるし。昨日までのひーくんでも、もう大好きで仕方なかったのに……こんなに素敵な部分を見せられちゃったら――もっと好きになっちゃうに決まってるでしょ」


「分かった、分かった分かった。もういいからやめてくれ。……言っておくけど、俺は冗談抜きで、相手からフられない限りほぼそのまま結婚するって決めてるくらい面倒くさい人間だ。自分でも頭おかしいんじゃないかって思ってるくらいだ。でも、それでもいいなら、俺と──付き合ってください」


「はい♪」

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