87【陽】タクシー代と母さんバレと、教室のメリーさん
その後も定期的に「今ここにいる」とか「あと何分くらいで着く」みたいな報告を彩乃に送りつつ、ちょっとした会話を挟んでいるうちに――駅前から拾ったタクシーが学校に到着した。
(何も考えずにここまでタクシー乗ってきたけど……冷静に考えたらアホだな。普段こんな金食い虫に乗って登校なんてしないし、もし母さんにバレたら説教確定だからどうしてもって時は現金で払ってたのに……って、今の俺、現金ないじゃん)
「2640円になります」
(ふざけんな。バスなら230円で済むだろ! まあ待ち時間込みで30分以上は早く着いたけどさ)
「カードでお願いします」
(母さんに……どうかバレませんように)
支払いを済ませカードを受け取ると、俺は運転手さんに軽く会釈してから教室に向かってダッシュ。
***
「なんで2年の教室が3階で、1年が2階なんだよ。普通逆だろ……ボケ校長」
廊下でそんな愚痴を吐きながら前のドアから中を覗き、彩乃しかいないのを確認してそのまま走り抜け――遅刻ギリギリで後ろのドアから滑り込むように入った。
「っ⁉ ……び、びっくりしたぁ!」
「はぁ……はぁ……。私、メリーさん。今、彩乃の目の前にいるの。……つってな」




