83【彩】その頃、彩乃は
今日は2月14日、バレンタインデー。
そして――放課後、ひーくんに告白すると決めた日。
昨日の夜に作った生チョコを紙袋ごと抱えて、私は校長室へ足を運んだ。
「放課後になったら取りに来ますので、それまで冷蔵庫を貸してください」
「ん? 別に構わないが……イチは今日、東京で仕事だったはずだよ?」
「………………」
「そんな無表情で見られても困るんだが。……私からそれとなく連絡してみようか?」
「いえ、何となくそんな気はしていたので大丈夫です。自分で連絡しますから、お気になさらず」
「佐々木君が怒りたくなる気持ちも分かるよ。だが、これもいい機会かもしれない。イチがこのあとどう動くのか、確かめてみるのも悪くないんじゃないかい? たとえ悪い方に転んでも、君がそう簡単に離れていくとは思えないし」
……たまたまだからと割り切ろうとしても、何度も続けばイラッとするもの。
正直、「どうしてやろうか」なんて気持ちにもなっていた。
けれど――。
(……確かに。今後を考えれば、どっちに転んでも私にとってプラスにしかならない。それに……私の勘が言ってる。実行すれば、ひーくんの“もっと素敵なところ”が見えてくるって)




