82【陽】チョコを貰えない陰キャぼっち
本日2月14日はバレンタインデー。
……はどうでもよくて、今日は終業式前最後の登校日ということで、例年通り午後1時から各クラスで成績発表が行われる。問題がなければ春休み開始。赤点があれば一週間後の追試に向けて強制勉強会に参加だ。
で、午前9時ちょい過ぎの俺はというと――
「それでは今日の打ち合わせを始めましょうか」
当たり前のように学校をサボって、担当さんと小説の打ち合わせに来ていた。
(だって成績は大丈夫って分かってるし、たかが一時間ちょっとのために登校とかアホらしいし。チョコ貰える予定もないし。そもそもくれる人もいないし。……じゃあ行く意味ないし)
◆
「こんなところですかね。先生の方から何かありますか?」
「んー、大丈夫です」
「では、いつも通り何かありましたら私に連絡ください」
「はい、ありがとうございます」
そう言って立ち上がった俺に、編集さんが小さめの紙袋を差し出してきた。
「これ、どうぞ」
中身は見なくても分かる。チョコ(多分)。
既婚者だし、去年ももらっているから特に思うことはない。
「ありがとうございます」
そうお礼を伝えて、俺は東京駅へと向かった。
(……ありがたいけど、義理は義理。去年と同じ。やっぱり虚しいな)
けど――もし彩乃から、本命をもらえたりしたら。
そんなこと、あるわけないのに……な。




