76【彩】ひーくんと“初L○NE”はまだノーカン⁉
ひーくんの中で私との距離感が一気に縮まったのか、友達にするような感じで『じゃーねー』と言ってくれただけでなく、手まで振ってくれた。
(うぅー、あまりにも予想外過ぎてちゃんと返事を返せなかったよ~。私のバカバカバカ! ……でも次は絶対、ちゃんと返すんだから‼)
「今度は一人で悔しがっているところ申し訳ないんだが、ちょっといいかい?」
「……なんですか?」
「何かイチのことで聞きたいことがあるのなら教えてあげるから、そんなあからさまに不機嫌そうなオーラを向けないでくれ。と言いたいところだが、まずは私からの質問が先だ。正直な話、佐々木君はA男の件についてどう思っていたんだい?」
(折角人が幸せな気持ちでいっぱいになってる時に、A男とかどうでもいい奴の話を振ってこないでよ。空気読んでよ、まったく!)
「ひーくんの『被害者と加害者の両方を救いたい』っていう気持ちは、この部屋に入ってきた時から何となく分かっていましたし……すごく優しい人なんだって分かって、更に好きになっちゃいました。けど、正直私には理解できませんね。ぶっちゃけ問答無用で即退学でいいんじゃないかとすら思っています」
「ひゅ~う♪ 結構ハッキリ言うね。……だがね、ちなみに私も君と同じ考えだ」
「じゃあなんであんな奴のことを助けることにしたんですか? まあそのおかげでひーくんが悲しまずに済んだのでありがたいと言えばありがたいですけど」
「間違いなくA男は今回、犯罪を犯した。イチの考えは甘すぎる。甘すぎるが――それは彼のいいところでもある。だから私はその長所を潰さないように努力したし、これからもそうしていくつもりだ」
「そうですか。では今後あなたがひーくんを傷つけるようなことをした場合、遠慮なく彼が録音していたデータをぶちまけますので、その時はよろしくお願いします」
「さっき君がイチのスマホを弄っていた時か……。まったく、最近の若者は怖いね~」
(ふふん、保険の意味でこっそり私のL○NEに録音データを転送しておいたし、ひーくんの方はトーク履歴を全部消しておいた。だから後で私のも消せば――実質、初L○NEはまだ! まだなの‼ ……よし、ノーカン! ノーカン‼)




