74【陽】仕組まれた“見せしめ”の裏側
『さぁ、そろそろネタばらしといこうか』
そう言った校長は俺たちに座るよう促してきた。
仕方なく先に佐々木を座らせ、俺は別のソファーに腰を下ろそうとしたが――。
『ひー、じゃなかった。一之瀬君は私の隣!』
怖い笑顔で隣をポンポン叩かれ、強制的にその場へ。
「生憎うちの部屋にジュースはないのでね。代わりに温かいほうじ茶と、貰い物の喜○福で我慢してくれ」
「ありがとうございます」
「うむ……なあ、もう一個ないの?」
(やっぱ喜○福うめえ。あとで冷蔵庫からパクって帰ろう)
「残りは冷蔵庫にある。欲しければ二人で仲良く分けて持っていきなさい」
「マジで!? やった! 生菓子系って大好きなんだよ」
「まったく……。それより、話を進めてもいいかな?」
「一之瀬君、取り敢えず私の分あげるから校長先生の話を聞こう? ね?」
佐々木は優しい顔で自分の分を渡してくれた。
(……よく分からんけど貰っとくか)
お礼を言いながら食べていると、校長が咳払いして切り出した。
「まず、荷物検査の件だが……実際に行ったのは君たちのクラスだけ。校内放送も、そこだけだ」
そこから語られた内容をまとめると――
・荷物検査と放送があったのは普通科2年2組だけ
・煙草が見つかったのもA男だけ(B男は後ろの席でギリギリ逃げ切り)
・教○委員会がどうこう、というのは全部嘘
・A男を“見せしめ”に使ったのは事実
・本来なら退学の可能性が高いが、俺が怒鳴り込んだことに免じて停学に持ち込む手を打っておいた。
(……狙いは理解した。けど納得いかねえ。俺の作戦は甘かったのも事実だが、それでも人を見せしめに使うとか、どうしても割り切れねえ)
「ここまで分かりましたけど……結局、最初からA男を見せしめにした理由って何なんですか?」
「抑止力という理由もある。だが――それだけじゃない。ちなみに佐々木君は何だと思う?」
「えっと……前例を作って、煙草の持ち込みを減らすため……とか?」
「惜しい。だが正解ではないな。――イチ、君ならどう答える?」
「チッ……。大勢の前で“やりすぎ”な光景を見せると、その後の罰は甘くなりがち……その心理を利用して、A男を退学じゃなく停学で済ませようって狙いだろ」
そう吐き捨てると、校長は満足げに手を叩き――
「ブラボー。流石はイチ」
(……『ナイスアシストだろ?』みたいにウィンクすんな、クソ爺)
次回予告!
怒涛の展開を抜けたその先で――
陽太と彩乃の“距離”が一気に縮まる瞬間が!?
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