72【陽】佐々木の叫び――「絶対にさせない!」
「そのスマホ……会話は全部録音済み、って顔だね。ばら撒かれたくなければ要求を飲め――そんなとこだろ?」
「もしそうだと言ったら?」
「んー、それは困るな」
「だったらA男の処分を――」
「しかし、そんなことをすれば今度はイチが“学内で虐めの標的”になるんじゃないかい?」
(……最近は佐々木と話すのも慣れてきて、学校に来るのがちょっと楽しみになってた。けど、どうせクラス替えで離れるかもしれないんだ。だったら別にいいだろ)
「おいおい、俺は元からぼっちだぞ。クラスで俺に話しかけてくれるのなんて――佐々木と倉科、それと誉くらいだ。大して変わら――」
「――変わるに決まってるでしょ‼」
不意に声が飛んだ。
ソファーの裏から飛び出してきた佐々木が、俺のスマホを奪い取る。
そして胸の前にぎゅっと抱きしめながら――。
「そんなこと、絶対に私がさせないから‼」
「はぁ……どういうこと?」
緊張が切れて、気の抜けた声が漏れる。
だが校長は、どこか楽しげに笑って言った。
「あはははは……ここで佐々木君が出てこなかったら、私は負けていたよ。いや、この学校の経営すら危なかったかもしれないね」
「チッ……やっぱり何か仕組んでやがったな?」
「さて――そろそろ“ネタばらし”といこうか」
次回予告!
彩乃視点で描かれる、校長室での一幕――。
彼女が目の当たりにするのは、“陽太”と校長の息が詰まるような駆け引き。
一生徒と校長の対話とは思えない張り詰めた空気の中で、彩乃は何を感じ取るのか……?
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