68【彩】その頃、彩乃は
今日は球技大会ということで私は明日香とペアを組んでバドミントンに出場していたのだが、惜しくも準々決勝で負けてしまった。
そのため二人で話しながら自分達の教室へ帰ろうとしていたところ、たまたま校長とすれ違い――。
「もし間違っていたら申し訳ないのだが、君は普通科2年2組の佐々木彩乃君で間違いないかな?」
「えっ、まあそうですけど。私に何か用ですか?」
「同じクラスで佐々木君の隣の席に座っている一之瀬陽太のことで、少し話したいことがあってね。よければ校長室まで来てもらえるかな?」
(ひーくんのことで私に話? というか……なんで彼だけ呼び捨て?)
「彩乃ちゃん、どうするの?」
「ああ、倉科君のことは一之瀬から聞いている。信用できる子だと分かっているから、一緒に来てもらって構わないよ」
「……そういうことでしたら」
正直、今の発言で謎が深まったどころか、この人自体が妙に怪しく思えてきた。
けれど、ひーくんのこととなれば無視するわけにもいかない。そうして私達は頷いた。
「ありがとう。では急ごう。こちらも少々、時間がないものでね」
そうして校長室へと直行し、今は明日香とソファーに並んで座っている。
校長は紅茶を淹れながら、落ち着いた口調で話しかけてきた。
「初めてこの部屋に入った人は、大抵“校長室というよりどこかのお屋敷みたいですね”と言うんだが……まあ、こういう場所が一つくらいあってもいいだろう。茶葉は完全に私の好みだから、君たちの口に合うかは分からないけど」
「………………」
(やっぱり怪しい。校長っていうより、ただの怪しいおじさんじゃん……)
「どうやら佐々木君は私のことを信用してくれていないようだね。……なら正直に言おう。ここからの話は、一之瀬以外には絶対に内緒で頼むよ?」
「分かりました」
「まあ、校長先生がそう言うなら」
「実はね――私は一之瀬と一年生の頃からの“友達”なんだ。私は彼を“イチ”と呼び、あっちは私を“校長”あるいは“爺さん”と呼ぶ仲でね」
「「えぇっ⁉」」
驚きで声を揃えた私達に、校長はスマホを取り出し画面を見せてきた。
そこには見覚えのある名前。
「えっ、これ……よーくんのL○NE!? しかもトプ画まで同じ……」
「なんで校長が持ってるの⁉ 私ですらまだ知らないのに!」
「ふふ、どうやら信じてもらえたようだね。――では、ここからが本題だ」
このあと22時に69【陽】・70【彩】を更新します!
校長室でのやり取りをきっかけに、物語はさらに動き出す――。
“無自覚最強”の一之瀬と、彩乃との距離感にも変化が……?
いよいよ球技大会編は序章を越えて、新しい展開へ。
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