55【陽】迷子の豚さんはお帰りください♪
ということで今年も校長に強制され、駐車場にて出店中のチュロス屋の手伝いをする羽目になった俺は――。
風でスカートが捲れないよう、お盆を抱きしめるみたいに両手で持ちながら、ひたすら立ちんぼしていた。
すると最初のお客らしき集団が近づいてきて、小声でコソコソ。
「おい、お前が行けよ」
「嫌だって。言い出したのお前だろ」
「じゃあジャンケンな」
(……あー、向井もいるじゃん。まあアイツ、周りにウザがられてるのを“面白い”と勘違いして生きてるタイプだし、別に驚かねーけど)
ジャンケンが終わり、負けたらしい向井が渋々こっちへ。
「あ、あのー、去年もここで店員やってましたよね? なんで去年は誰とも喋らなかったんですか?」
(チッ……案の定、冷やかし目的か)
「――今のあなたみたいに、全く面白くないことを“面白い”と信じ込んで話しかけてくる人間と関わりたくなかったからです♪」
「え、えっつー!?」
(須田の口癖パクんな。マジでウザい。さっさと何個か買わせて追い返すか)
「ん? 三つですね? かしこまりました♪」
「い、いや俺は……。ていうか、ここのチュロス高くないっすか!?」
「な〜んだ。お客さんかと思ったら、迷子の豚さんだったんですね。でしたら――豚小屋は、あちらですよ♪」
引き攣った顔の向井は仲間と一緒にすごすごと退散していった。




