49【陽】もしも、私が好きだったら
俺はいつも通り休み時間に本を読んでいると、珍しく教室内で倉科が声をかけてきて。
「ねえねえ、よーくん。今日はなに読んでるの?」
「………何が狙いだ?」
「何にもない、よ?」
「……俺みたいな人間はこういう場所で堂々とラノベを読んでます、って言うのに抵抗感しかないことを知ってました?」
「えー、別に私はそういう趣味があっても全然いいと思うけどなぁ。ねえ、彩乃ちゃん?」
(はあ?)
「ん? まあ趣味は人それぞれだし、そういうのに限らず何かを馬鹿にしてる人って大体が『自分の嫌いなこと=叩いて当たり前』『嫌いな人が多い=それが正しい』『よく分からないけどみんな叩いてるから自分も』みたいな頭おかしい人達でしょ? そんな奴らのことなんて一々気にしない方がいいよ」
「は、はあ」
(えっ、なにこの展開? なんで佐々木に話を振った?)
佐々木は一呼吸おいてから、ふっと真剣な顔をして俺に向き直った。
「ねえ、ちょっと想像なんだけどさ。もし私が一之瀬君を好きだったとして――こういう場合って、やっぱり少しでも共通の話題ができるようにって努力するべきだと思う?」
「いや、別に共通の話題なんて探せばいくらでもあるというか……、こーう、本当の友達と喋ってる時ってそういう話だけをするんじゃなく、その場であったことで盛り上がったり……昨日あった面白い話とかするじゃないですか?」
「うんうん」
「だから、もし佐々木さんの好きな人がアニヲタだったとしても、無理に知識を合わせようとするより……うーん。取り敢えず俺なら、そうやって無理に話題を作ろうとする人よりも、自然にくだらない話で盛り上がれる人の方がいいかなーと。……はい」
(うわっ、真面目に答えすぎた! 絶対“知識だけでイキってる奴”とか思われてないよな……?)




