48【彩】その頃、彩乃は
昨日はまさかの一之瀬君が学校を休むという予想外のことが起こってしまったが、今日はちゃんと彼が登校してくることを明日香経由で確認済みなので『まずは朝のおはようからだ』
そう意気込みながら私は後ろのドアから教室に入ると一之瀬君が……
(って、寝てるじゃん! なんでいつもは読書をしてるのに今日に限って寝てるのさ‼ もはや私達の計画がどこかから漏れててワザと意地悪してるんじゃないか説を唱えたくなってきたよ、私は!)
「あっ、彩乃ちゃんおはよう。ちなみによーくんなら学校にきて数分で寝たよ」
「んーーーぅ」
「そんな拗ねながらよーくんのことを指さされても……じゃあもし一時間目が終わってもまだ起きなかったらひざ掛けを下にずらしてみる?」
そんな明日香の提案などつゆしらず、いつかの時同様静かに眠っている彼の後ろに私達二人は立ち
「(それじゃあ彩乃ちゃんがひざ掛けを下す係で、私はもしよーくんが起きちゃった時に誤魔化す係。これでいい?)」
「(もし一之瀬君が起きちゃったら私はどうする?)」
「(あー、じゃあ最初からそこのドアを開けておいて……ここから脱出して自然に前から入ってくれば大丈夫じゃない?)」
「(オッケー。じゃあいくよ?)」
そう言い私はゆっくりとひざ掛けの両端を掴み、そのまま自分の体に向かって引き上げていき――
(……一之瀬君の匂いがする。やば、なんか顔が熱い)
「(お取込み中悪いけど、早くしないと起きちゃうよ~)」
「(―――――っ⁉)」
その後一之瀬君が起きることもなく、無事ひざ掛けの位置をズラすことに成功したまではよかったのだが。
この前と同じく彼がこちらに顔を向けて眠っていたせいで、つい出来心で――
私も同じ体勢で横になり、顔の向きを彼の方へ。
(こんなの、反則でしょ……。でも――)
(ん~~~っ♡ これ、癖になっちゃうかも)




