46【彩】その頃、彩乃は
初めて一之瀬君と出会った新学期初日。
お世辞抜きで「カッコいい」と思ったし、凄く真面目そうな雰囲気にも見えた。……けど同時に、どこか暗くて何にも無気力そうで、「ちょっと苦手かも」なんて思っていた。
でも、新学期が始まって一ヶ月が過ぎた頃。
最初に彼のことが気になったのは、たしか一之瀬君の日直だったはず。
そこから――
バドミントンで生き生きとした表情を見て惹かれたり。
シャトルラン前に彼を馬鹿にする声を聞いて腹が立ったり。
学年最高記録に間に合った瞬間は、自分のこと以上に嬉しくなったり。
……気づけば、もう目が離せなくなっていた。
そして夏合宿。
初日――子供みたいにはしゃぐ姿に、不意に心を奪われた。
二日目――意地でもトップを走り続ける必死な姿に、見惚れてしまった。
三日目――真剣な顔でプレーし、最後は無邪気な笑顔でハイタッチ。
その全部に、私は心を持っていかれた。
……だから考えた。
どうすれば仲良くなれるか。何度も明日香に相談して、まずは勇気を出して話しかけることから始めようって決めた。
決めた――はずなのに。
「えーと、一之瀬以外は全員出席と」
(……なんで今日に限って学校休むの⁉ 今日から頑張るって決めたのに‼)




