29【陽】シャトルラン 本気を出した陰キャの結果
体力測定。
それは陰キャにとって――逃げ場のない公開処刑イベントである。
特に50m走とハンドボール投げ。
みんなに見られながらやらされる上に、先生が直々に記録を取る。
運動神経が並の俺にとってはただの拷問でしかなく……先日、嫌々やりました。はい。
だが今日の種目はシャトルラン。これでラスト。
「適当なところで抜けて終わりにするか」と思いながらスタートを待っていると――近くのA男とB男が。
「せめて周りがある程度減ってから抜けたいわ。自分だけ止めるのダサいし」
「まあ一之瀬には負けないだろ。大丈夫大丈夫」
(……はあ⁉ 誰が喫煙者に持久力で負けんだよ。どうせお前ら肺イカれてんだろ?)
ムカついた俺は、周囲の目なんてどうでもよくなって長袖ジャージとウィンドブレーカーを脱ぎ捨てる。
ちょうどその時、カウントが始まった。
『142』
(死ぬ!)
『146』
(間に合っちゃった!? いやもう止めたい……でもここで止めたら負けだろ!)
『149』
(あ゛ー……ここまで来たら150いくしか……!)
「はぁっ……はぁ……きっつ……」
『150』
『151』
(まだ走ってる奴いるの!? 化け物かよ!)
……もういい。知らん。
俺はフラフラしながらジャージを拾い、そのまま水を飲みに外へ出た。




