28【彩】その頃、彩乃は
体育祭の出場種目を決めている最中。
私は明日香とハチマキを結び合っていた。今は私の番。
「はい、ダブルリボン結び」
そう言って手鏡を渡すと、明日香は小首を傾げた。
「これは初めて見たかも。じゃあ私も珍しい結び方してあげる」
「おー、言うねえ? そこまで言うなら期待しちゃうよ?」
――その時ふと思った。
(一之瀬君って、何に出るんだろう? バドミントンでは動きも反射神経も良すぎるくらいだったし……足も速いのかな? リレーが似合いそうだけど)
「はい、じゃあ次にクラス対抗リレーに出たい人~」
(……あれ? 反応なし。もしかして本に夢中で手を挙げ損ねた? いや、もしかして最初からサボる気とか……)
「○○は何かに手挙げた?」
「いや……えっと、まだだけど」
「んじゃ、この空いてるやつから選んで」
(ほら、普通はこうなるよね。でも……今の一之瀬君なら切り抜けそうな気がする。不思議だけど)
「はい、できた! 猫耳ハチマキ!」
「ちょっ……明日香、それはない。あざとい通り越して普通にウザい」
「えー、可愛いと思うけどなぁ。じゃあ定番でポニテのリボン結び?」
「それもいいけど……折角ならお揃いってのもアリかな」
私がそう言うと、明日香はスマホで別の結び方を探しはじめた。
ちょうどその時。
「先生、とりあえず決まりました!」
「うーん……OK。じゃあ名簿にまとめて出して」
「分かりました!」
(……本当に切り抜けたよ、この人。すごっ)




