00【彩】まだ知らない顔を、少しだけ
影を纏うみたいに静かな男子。
誰もが「ただの陰キャ」と見過ごすその姿。
けれど、時に学年全体をすら揺るがす数字を叩き出す彼は――私だけが知る“無自覚最強”。
クラス替えの日、私の隣に座った男子――一之瀬陽太。
イケメンで真面目そうなのに、常に無気力。
最初は「ちょっと苦手なタイプかも」と思った。
けれど、その印象はすぐに覆されていく。
体育館で一瞬だけ見せた鋭すぎる動き。
走り続ける背中。
――そして、常識を越える記録。
夏の日の無邪気な笑顔。
大人ですら気圧されるような、堂々とした態度。
どれもこれも、普通の高校生じゃあり得ない。
なのに、本人はその“凄さ”にまるで気づいていない。
“無自覚最強”――それが一之瀬陽太。
不器用で、時に真剣で、ふとした優しさで心を揺さぶってくる。
だから私は、目を離せなくなった。
これは、そんな彼の隣に座る私だけが知る物語。
誰も気づかない“無自覚最強”を、隣で見ているのは――私だけ。
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