24【彩】その頃、彩乃は
明日香の助言を素直に受け入れて、最初から本気でプレーした。
……そしたら、あっさり三点。ちょっと拍子抜け。
――その時だった。
一之瀬君が長袖ジャージを脱いで、The・運動部みたいな格好に。
「ここからのよーくんは、今までとは全然違うよ。ほら、サーブの構え変えてきた」
明日香がそう言った瞬間、一之瀬君はシャトルを真上にトス。
そして――そのまま上から豪快に打ち込んできた。
(はやっ……! 今までのサーブと比べ物にならない! でも、それなら――)
強がって手前に返そうとした、その時。
(……えっ⁉ いつの間にネット前まで!?)
咄嗟に視線を向けると、すでに前に詰めていた。
仕方なく後ろのライン際を狙って返すと――
(これなら取れないはず――)
そう思ったのに、一之瀬君はスッと後ろに下がり、妙に様になったステップで対応。
今度は横から打ち抜くようにシャトルを返してきた。
その後も、変則的な動きに翻弄されっぱなし。
全力で返してるのに、全部が“ちゃんと様になってる”のがずるい。
結果――5-10。完敗。
(……やっぱりこの人、ただの読書好きじゃない)




