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隣の席の美少女だけ、俺の“無自覚最強”を知っている  作者: ITIRiN
恋と執念のラストスパート ― 体育祭決戦編 ―

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266【明】快進撃の秘密――実況席で打たれた一手

「あっ、○○?

今年の体育祭で一番の盛り上がりポイントに入り始めたところでごめん。ちょっとお願いしたいことがあるんだけど、大丈夫?」


『――――――――』


当然ながら、電話越しの声は聞こえない。

けれど、彩乃ちゃんが呼んだ名前と、その口ぶりからして――今回の実況を担当している、放送部兼陸上部の女の子で間違いないだろう。


「ありがとう。それじゃあ早速なんだけど――

ひーくんが、今先頭を走っている○○に勝負をかけるまでの間に、ひーくん以外の全員が履いている例のピンクシューズの解説をしてくれないかな?

もちろん、メリットとデメリットの両方を、ね♪」


『――――――――』


「さすが○○。

二年生にして放送部の副部長を務めてるだけじゃなくて、女子陸上部の次期エースって言われてるだけはあるよね。

それじゃあ期待してるから、よろしく~」


電話相手は同じはずなのに、選手紹介のときとは打って変わって、まるで優しい部活の先輩みたいな雰囲気で通話を終えた彩乃ちゃんは、そのまま私の方を見て、得意げにドヤ顔を向けてきた。


そして先ほどの電話で、完全に落ち着きを取り戻したらしい実況の子は、早速頼まれごとをこなすべく、あらかじめ用意していたのだろうピンクシューズの画像と、スタート前に撮影したと思われる代表選手全員の足元写真を、モニターの一部へ映し出す。


ちなみに――

なぜ私が、別の場所にいたはずの彩乃ちゃんの電話の内容を、まるで見聞きしていたかのように察していたのかというと。


「普通、自分の彼氏のためとはいえ、実況の子に直接電話して、あんな指示出すか?

つーか、どういう繋がりであの子の電話番号知ってんだ?」


「それが私も、さっき知ったばかりなんだけどね。

実はこの学校、一ノ瀬君のファンクラブがあるだけじゃなくて――その会長が彩乃で、あの子はその会員の一人らしいよ」


「おいおい、マジかよ……。

その時点でツッコミどころ満載だろ。ていうか一番の問題、それ職権乱用じゃね?」


――といった感じで、いつの間にか仲良くなっていたらしい美咲ちゃんとひっしーの会話から、何となく事情を察した……というわけである。

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