265【明】守る側に立つ人達
なんて考え事をしていると、中間地点から戻ってきたらしい彩乃ちゃんと、よーくんのウィンドウブレーカーを着た美咲ちゃんが、私の前までやってきて――
「お宅の弟さんのことが気になりだし、そしてお付き合いさせていただいている今日に至るまで、ずっと彼のことを見てきたつもりですが……まさか、こんな奥の手がまだあっただなんて。
お姉さんも、中々エグイ隠し事をされているんですね」
流石は、私が認めた女の子。
この短時間で、よーくんすら知らないこちらの秘密をほぼ見抜いたうえに、もしもの時は友達よりも彼氏のことを優先する――そんな気概が、はっきりと感じられる。
「え~、ちょっとその言い方は酷くないかな?
ただ私は、よーくんのことを大切に思っているが故に、完全なゾーン状態に入る為に必要になってくる引き出しと鍵を、隠し持っていただけなんだけど。
そんな性悪女みたいな言い方、しなくてもよくない?」
そうとなれば、こちらもいい機会ということで、嘘偽りのない受け答えを返すと――
「はーぁ。先に喧嘩を吹っ掛けたのはこっちだけれど……今の明日香の顔、物凄く怖いよ。
隣にいる菱沼とか、あまりの恐ろしさに若干後ずさりしてるし」
私の真意を理解してくれたらしく、彩乃ちゃんは一足先に、いつも通りの彼女へと戻った。
しかし、私としては――まだ、もう一つだけ伝えておきたいことがある。
「別に私が、いつ誰に嫌われようがどうでもいいの。
もう二度と、よーくんが汚い大人の食物にされなければ……それでいいと思ってるから」
「はいはい。取り敢えず、明日香が超ブラコンだってことだけは分かったから、いい加減それ止めてくれます?
あとね――ひーくんのことが大好きで、あの人の為なら何だってするっていうのは、こっちも同じだから」
そう言うと、彩乃ちゃんは自分のスマホを耳に当て、どこかへと電話を掛け始めた。




