258【明】もう結果は見えている
(この感じだと、今先頭を走っている人以外は全員、勝手に自爆してくれそうだね。そして問題の、現在一位をキープしている人だけれど……まだ誤魔化しは効いているみたい。でも、この様子だと、よーくんが追いつく頃には限界寸前だろうし――これでウチの弟が優勝するのは確実っと♪)
「んだそれ……って言いたいところだけど、アイツならあり得なくもないんだよなぁ……。試合中に一ノ瀬とハイタッチしてる時とか、部活終わりに一ノ瀬とチャリで二人乗りして遊んでる時とか、ふざけて一ノ瀬のことをおんぶしてる時とか……その他諸々。一ノ瀬と二人で何かしてると、絶対に佐々木の鋭い視線を感じるからな」
「ご納得いただけようでなによりです」
(まあ別に、元々私と実況の子、あとは陸上部顧問兼長距離走の監督をやっている○○先生――この三人の見解が一致していた時点で、よーくんの優勝は決まっていたようなものだけれどね~)
「………おい、そういえば一ノ瀬は今どこにいるんだ? 少なくとも、さっきから順番に映されてるカメラ映像には、どこにもいないぞ?」
「それはそうでしょ。中間地点を出てから、まだ一分も経ってないんだもん。いくら前半四キロを約3分30秒、残り一キロを3分ちょうどで走ったよーくんでも、カメラでの撮影が許可されている範囲に来るには、もう少しかかるでしょ」
(と言っても、恐らく今のよーくんは“一キロ三分”に近いペースで走ってるだろうから……そろそろ、カメラに映り始めると思うけど)
「はぁ⁉ おい、それってどういうことだよ‼ 先頭を走ってる奴、そろそろ二キロ地点に着くぞ‼ こっから優勝するとなると、いくらアイツでも、かなり無理をさせないといけなくなるぞ‼」
「うん、そうだね。だから今から、よーくんにはその無理をしてもらうに決まってじゃん」
(もちろん、この好条件がなかったとしても――私がサポートについている限り、ウチの子が負ける未来なんて、絶対にあり得ないのだけれど)




