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隣の席の美少女だけ、俺の“無自覚最強”を知っている  作者: ITIRiN
交錯する想い、後半5㎞

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247【陽】その優しさが、火種になる

「ねえ彩乃。俺、今すげぇ気持ち悪いんだけど。なんで?」


「それは、ひーくんが優しい心を持ってるっていう証拠。だから、そんな不安そうな顔しないの」


そう言いながら、彩乃がぎゅっと俺の手を握ってきてくれた――その直後。

さっきよりも強い力で、ジャージの裾が引っ張られた。


その瞬間、自分の中に生まれた不快感に耐えきれなくなった俺は――

小さい頃、明日香に禁止されてからは、仕事で必要な時と彩乃以外には使っていなかった“疑似多重人格”の一つを、脳内の引き出しから引っ張り出す。


「……なあ藤村。あの頭脳プレイ(笑)で、お前がこの場にいないことを確認して。

たった今、俺達の目の前を通り過ぎていって。

笑顔で浮気相手のことを後ろから抱きしめてる○○に対して――何かしら仕返し、したくねえか?」


まるで悪魔の囁きみたいなその言葉に対し、藤村は。

自分の存在が○○にバレる可能性があるにも関わらず、俺の目の前へと出てきたかと思えば――


「んぅっ⁉」


そのまま、何かが刺さったフォークを無理やり俺の口に押し込んできた。


「うん♪ やっぱり一ノ瀬君は、いつどんな時でも自分の気持ちに素直な反応を見せてくれる、無邪気な男の子の方が素敵だよ」


「っ~~~ぅ‼」


「そうそう。自分を誤魔化して、苦手な異性と普通に話してる一ノ瀬君よりも――

そうやって恥ずかしがってる一ノ瀬君の方が、かわい――ひっ⁉ ひひゃいひひゃい! いひありおおほいっあなひでおあひゃお!

(いっ⁉ 痛い痛い! いきなり頬を引っ張らないでよ彩乃!)」


「はいはい。あんまり大声を出すと、他の人達に美咲の存在がバレるかもだから。

静かに、私達の後ろで隠れてましょうね~」

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