243【彩】その頃、彩乃は
なんてやり取りがあってからの数分間。
今のひーくんは“キャラ変彼氏”ではなく、完全に素の彼。
しかも今回は私が主導権を握っていることや、場所が場所ということもあって、中々自分からは動こうとしてくれなかったものの――
(恥ずかしがってるひーくんも可愛い、っていうのは自明の理だから一旦置いといて……)
『んぅ~、やっぱりえんぶだめっ‼(やっぱり全部だめっ‼)』
そう言いながら、“人差し指だけ”のちょっと変わった恋人繋ぎをしてきてくれたこと以外は、全て私の予定通り――
……ではあるのだけれど。
やっぱり“好きな人が、自分のために動いてくれた”という事実が、どうしようもなく嬉しくて。
そりゃまあ、顔がゆるむのは仕方ない。
『ふふ〜んぅ♡ ひーくん、私のことでヤキモチ焼いちゃったの? 焼いてくれちゃったの?』
『ッ~~~~///』
(はぁ〜、そうやって
『どこまでが狙ってたのか分からないし、今も本気なのか演技なのか全然分からん』
ってひとりで困惑しちゃってる顔……最っ高♡)
『んぅ〜〜〜っ♡ そうやって顔を赤くして恥ずかしがってるひーくんも可愛い♡
はぁ……そんな顔されたら、また違った意地悪したくなっちゃうよ♡』
『んぅ~~~ッ!』
(……まあ、そろそろ他の人たちもここに着くみたいだし。
“他の女ども”に、私だけのひーくんのあれこれを見られる可能性が少しでもある以上、絶対やらないけどね。
…………ところで、素人でも他人の記憶って消せたりしないのかな?)
「ひっ⁉」




