241【陽】指先が語った、陽太の独占欲
口だけでは終わらないのが、うちの彼女だ。
『前言撤回♪ やっぱり言葉だけじゃ本当に私の気持ちを理解してくれたのか不安だからぁ…行動でも示してくれなきゃ、これどけてあ〜げない♡』
当然、そんな言葉と生ぬるい意地悪だけで済むわけもなく。
自分たちが今どういう状況なのかすら忘れているんじゃないかと疑いたくなるほどの“色っぽさ”をまとった彩乃に、俺が動揺すればするほど――
それに比例して、向こうのテンションはどんどん上がっていく。
そのせいで、お互い“無限ループ”に入りかけていたのだが……どうやら俺の“奥手度”より、“独占欲”の方がギリギリ勝っていたらしい。
(“ここまでならセーフ”とか、そんな話じゃ全然ないけど……
とりあえず、これ以上“エロくなった彩乃”の姿を、俺以外の誰かに見られるのは絶対に嫌だ!)
そんな気持ち――という名の心の声が噴き出すのと同時に。
「んぅ〜、やっぱりえんぶだめっ‼(んぅ〜、やっぱり全部だめっ‼)」
人差し指で口を塞がれていることすらお構いなし。
自分の気持ちすらまとまっていないまま、完全に“本能のまま”に動いた俺は、そんなことを口走ってしまった。
……が、その瞬間、急に頭の中がスッと冷静になってしまい、今度は羞恥心がとんでもない速度で駆け上がってくる。
とはいえ、口と同時に動き出していた俺の右手を、今さら止められるはずもなく。
とっさにできたことといえば――がっつり握るつもりだった手が、直前になって恥ずかしさに負けてしまい、結局は指先だけをそっと絡める形になった。
これはこれで、逆に恥ずかしさが増して仕方ない。
だが、どこまでが想定内かは分からないにせよ、少なくとも“ある程度は彩乃の掌の上”であることだけは間違いないだろう。
「ふふ〜んぅ♡ ひーくん、私のことでヤキモチ焼いちゃったの? 焼いてくれちゃったの?」
「ッ~~~~///」
(相変わらず、どこからどこまでが“計算”で、どこまでが“素”なのか……全っ然分からん)
「んぅ〜〜〜っ♡ そうやって顔真っ赤にして恥ずかしがってるひーくんも、可愛い♡
はぁ……そんな可愛い顔見せられちゃうと、また違った意地悪したくなっちゃうよ♡」
「んぅ~~~ッ!」
(分からんけど――今“死ぬほど恥ずかしい”ってことだけは、痛いほど分かる……!)




