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隣の席の美少女だけ、俺の“無自覚最強”を知っている  作者: ITIRiN
交錯する想い、後半5㎞

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238【彩】その頃、彩乃は

『むぅ、またそうやってクールぶって屁理屈みたいなことを言う! ひーくんのばかっ!』


素直に自分の気持ちを言ってほしかったが故に、ついそんなことを言ってしまったのだが……流石に“ばか”は言い過ぎたかも、と少し反省した私は、その点についてはちゃんと謝りつつも、


――どうすれば、この気持ちをひーくんに分かってもらえるだろうか。


と、これからのことをあれこれ逡巡しようとした、その瞬間。


『確かに今のは俺が悪かったというか奥手過ぎたというか…意気地なしな返事だったとは思うけれど………んぅ~~~、別にバカって言わなくてもいいじゃん、ばかっ‼』


なんていう、胸キュン過ぎる返答が返ってきた。


(さっきの私の言葉を聞いて、自分の中に生まれた不満をそのままぶつけるんじゃなくて、“どうすればお互い落ち着いて話せるか”ってちゃんと考えたうえで――)


(前半は、もう癖になってるおかげもあって、しっかり自分の考えを言えたけど。

後半はもう色々いっぱいいっぱいになっちゃって、語彙力だけじゃなく喋り方まで幼児化してるひーくん……可愛すぎなんですけど‼)


そんな心情につられてしまい、ほんの一瞬とはいえ――


『――――っ♡』


みたいな反応をこっちがしてしまったのに対し、


『…………んぅ?』


といった、若干首を傾げるようなひーくんの反応が見られたのを受けて――


(本当はこのまま、“私がまだ怒ってる”って勘違いさせておいて、もう少しだけ先に進みたかったんだけど……もしかして、ちょっと勘付かれちゃったかな?)


と、ヒヤッとしながらも。

今度は自分の中にある、彼へのデレデレな感情を押し殺す意味も込めて、“無感情モード”に意識を切り替える。


数秒ほど、あえて目と目を合わせ続け――

それでバレていないことを確認できた私は、そのままの状態で口を開く。


「じゃあ逆に聞くけれど、さっきひーくんが美咲に対してやっていたのと同じように、あなたの目の前で……」


と、例の計画を遂行するにあたり、そこまで言葉を進めたところまでは良かったのだが――


(………あーーー、本当に無理! 嫌だ、嫌すぎる‼

この次に言おうとしていること、口にしてなくても……それが私の頭の中に“ある”ってだけで気持ち悪い‼ 吐き気する‼)


(ううん、頑張るのよ彩乃。

今ここで、自分の中にある嫌悪感に負けて妥協した結果――これまで時間を掛けて築き上げてきた“完璧な害虫除け”に、ほんの少しでも隙間が生まれてしまう可能性がある限り……その選択だけは絶対にあり得ない‼)


そう、心の中で一世一代レベルの決意を固めた私は、再び口を開き――

一言目に。


「私が他の男に、後ろから抱き寄せられてたら?」


と、なんとか言い切った、その瞬間。


『思い切って自分の意見を言ってはみたものの……大丈夫だったかな?』

とか、

『つか、今ってどういう状況なの?』


といった感じで見せていた、困惑混じりの表情や視線が――一変。


美咲とクズのことを考えている時なんか比べものにならないほどの、“怒気”をはっきり感じさせてきて………。

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