230【彩】小悪魔彩乃、今日もお泊まり宣言♡
なんか知らない間に、うちの彼女が読心術でも身につけたらしく。
結果的に“してほしかったこと全部”をやってくれたおかげで、だいぶ落ち着いた……と思ったのも束の間。
真正面から向かい合った状態で、彩乃は俺に体重を預けながら背伸びをして、優しく頭を撫でてくれていたのだが――
急にそれをやめたかと思えば、体勢を戻す途中で軽く唇にキスをしてきて。
そのまま、わざとらしいほど“小悪魔”っぽい上目遣いで俺を見つめながら、
「言い忘れてたけれど、私今日もひーくんの家に泊まるから……覚悟しておいてよね♡」
「はぁ⁉ んなの聞いてねえぞ、おい‼」
「だから今言ったじゃん、“言い忘れてたけど”って。
あ、ちなみに最初から今日も泊まるつもりだったから、明日の分の着替えとか――」
彩乃はそこでいったん言葉を切り、
何の前触れもなくスッ……と俺へ体を寄せてくる。
お互いの体が触れるか触れないかの、絶妙すぎる距離感。
そのまま器用に俺の耳元へ口を寄せてきて、どこか色っぽい声で囁いた。
「(今日の夜も“昨日と同じ”下着かもって心配なら、しなくて大丈夫だよ……♡)」
「そういうのは“言い忘れてた”じゃなくて、“わざと言わなかった”って言うんだよ!
あとその“余計な心配”はいら――」
(いや、別に昨日と同じでも全然いいんだけど……。
彩乃は服も下着もセンスがいいから、むしろそれはそれで――)
そんなことを考えているうちに、彩乃はさっきと同じ上目遣いの姿勢に戻り、
小悪魔モードをさらに強めて、
「ん? いら?」
「いら……なくはないけど……今ここで言わなくてもいいですよね‼」
「………………」
(ヤベぇ。この感じ……小悪魔モードどころか“Sスイッチ”入りかけてるよな?
しかも読心術同様、いつの間にこんなの覚えたんだよ……。
完全に彩乃のペースに飲まれてて、これ“キャラ変彼氏”使っても……勝てる気が全ッ然しねぇ……)
すると彩乃は、見透かしたように微笑んで。
「……ふふっ。そうやって私に悟られないように表面上は余裕そうにしてるけど、
心の中では焦ってるひーくんも……かわいい♡
はぁ〜……状況と場所さえ良ければ、このまま“続き”してるところなんだけどね。ねぇ……ひーくん?」
(訳:ちゃんと今回も“何が悪かったか”理解して、反省もして、最後まで“ごめんなさい”も言えたから……さっきの件は許すよ、ってことか?)
そして彩乃は、まるで採点の最後の一言かのように、
「はい、よくできました♪
ということで――この後どうするつもりだったのかは知らないけど。
さっきひーくんが拾ってきた美咲を、どうにかしてきなさい♪」




