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隣の席の美少女だけ、俺の“無自覚最強”を知っている  作者: ITIRiN
中間地点の赤い糸

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227【美】その頃、美咲はⅡ

そう思っていたのが、ほんの数分前のことで。

現在の私たちはというと――。


(……これ、完全に私の存在忘れてるよね?

ていうか、もしかしなくても“自分が今どこにいるか”すら忘れてるんじゃない?)


なんてことを心の中で呆れ気味に考えていた、その時。


いきなり彩乃の雰囲気が変わり、

そして“私だけのひーくん”という言葉が口をついた瞬間――


一之瀬君は、まるでスイッチでも押されたみたいな速さで、

表情も、態度も、纏っている空気すらも一気に変わってしまった。


……いや、“押されたみたい”じゃなくて。


短期間でそのスイッチを作り上げて、

今や自由自在に押し分けている張本人 が、目の前にいる。


(私、生まれて初めて“性的サディスト”って呼ばれるタイプの人、見たかも……。

まあ、あの感じだと“まだ”私が本気で心配する域までは行ってないっぽいけど。

少なくとも一之瀬君の方は――

“自分のどこが悪かったのか”を考えることで頭がいっぱいみたいで、

そのことに全然気付いてないし)


(それどころか……

この状況をいいことに、“逃げさせないために抱きつく力を強めている”って名目で、

自分の体を押し付けて、ほんの少しだけ自分のドキドキを誤魔化してる彩乃の思惑にも気付いてない。

まして、知らず知らずのうちに“彩乃以外の女のところへは、

行きたくても行けなくなるように、すでに何重にも布石を打たれている”なんて……

絶対分かってないんだろうなぁ)


(……………………)


(………………さっきまでの、あの強引で頼れる一之瀬君に加えて、

今は母性本能をくすぐられる“可愛い困り顔”まで見せられて)


(……しかも、すぐ隣にはその元凶がいて。

この状況そのものが、“保護欲をこれでもかってくらい刺激してくる完璧なシチュエーション”になってるんだから……)


(……もしここで――

“私があなたの彼女だったら、こんな酷いこと絶対にしないし。

そんな顔、絶対にさせないのに♡”

なんて言っちゃったら……)


そんな、絶対に口にしてはいけない台詞が、

喉元まで込み上げてきた、その瞬間――。


(あ……れ……?)


何に対するものか自分でも分からない。

でも“疑問”というよりは、どちらかといえば――胸騒ぎ。


それが、いきなり心の中に浮かび上がった。


自分の頭の中だけで勝手にしている妄想のはずなのに、まるで――。


(まさか、今目の前で“一之瀬君といちゃついてる彩乃本人”が、

私の妄想に気付いて、止めに入ってきてるみたいな不快感……?

それに……もし私が今のまま、何も知らずにあれを実行して、

めでたく彼と付き合うことになったとしても――)


(きっとそれは、“失敗する”だけじゃ済まない。

お互いが迎える未来は、

さすがに100%とまでは言わないけど……

それにかなり近い確率で、“最悪”になる――)


そうやって、自分の思考がその“謎の感情”にようやく追いついたと同時に。


『ただただ凄い』

『凄すぎる』


と感心している自分と――


『たった今私は、底の見えない女。

“佐々木彩乃”という一人の女の闇を見てしまった』


ことに対する、ぞくりとするような恐怖と、呆れが同時に込み上げてきた。

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