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隣の席の美少女だけ、俺の“無自覚最強”を知っている  作者: ITIRiN
中間地点の赤い糸

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225【彩】その頃、彩乃は(下)

それから約数十秒間。

何も知らない人が今の彼を見たら、百人中百人が「真剣に考え事をしてる」と思うんだろうけど――実際には。


(どうせ私にバレないと思って“アボカドがどうのこうの”とか考えてるんだろうな~。ついでに「今週分のお泊りは昨日だったから大丈夫」とか思ってるんだろうけど、“実は最初から今日も泊まる気でいたから着替え全部置いてきたんだよね?”って言ったら、どんな顔するのかなぁ?)


(ん~、でもでも。小さい子供みたいに野菜一つであんな嫌そうな顔をするひーくんも良いんだよねぇ~♡)


なんてことを考えているうちに、くっ付きたい欲がだんだん“押し倒したい欲”に変わり始める。

少し体重を預けたその時――視線がズレて、美咲がこちらを見ているのに気付いた。


(あ、そういえばまだ中間地点だった。他の奴らが遅すぎて、もう体育祭終わったのかと思っちゃった)


(――というのは半分冗談で。そろそろ他の選手も来る頃だし、一旦締める……もとい、反省してもらいますか)


「ひーくん、ごめんなさいは?」


「………………」


(黙ってたって無駄だよ~? 普段のひーくんなら全部お見通しなんだから)


「ごめんなさいは?」


「………………」


(でも“キャラ変ひーくん”をやられちゃうとね、あれはもう別人。完全に役に入り込んでて、全然心が読めなくなるんだよね)


「声に出してた、出してなかったとかの前に……ご・め・ん・な・さ・い・は?」


(まあ、それはそれで嫌いじゃないんだけど。

それでも今のひーくんは――私が“あのスイッチ”を握ってる限り、どう足掻いても逆らえない。反省して、考えて、そして……)


「ごめん……なさぃ」


(どんなに納得してなかろうと、嫌でも、恥ずかしくても。

こうやって可愛い声で謝っちゃう。……そんな可愛くなるオプション付けた覚えはないんだけど?)


「はい、よくできました♪ えらいえら~い♡」


(最後にこうやって褒めてあげると、顔がニヤけそうなのを必死に我慢してる“私だけのひーくん”。

……完璧に狙ってる、もとい、私が見たいから仕込んでるだけなんだけど……ね?)

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