12【彩】その頃、彩乃は
新学期二日目。
私は昨日と同じように友達と教室の前で別れて、自分のクラスへ入った。
まだ時間が早いせいか、人はまばら。
どうやら部活の朝練がある人もいるらしく、明日香もまだ来ていない。
(テニス部も朝練ってあるのかな?)
そんなことを思いつつ席に向かうと、すでに自分の席で本を開いている一之瀬君の姿が目に入った。
(あれ? 昨日はちゃんとネクタイしてブレザーも着てたのに。今日はどっちもなくて、しかも学校指定じゃない前ボタンのセーター……。まあ、人のこと言えないけど)
(真面目そうに見えて、意外とそうでもないのかな? でも服装以外はちゃんとしてるんだよね。ラケットバッグも邪魔にならないように端に置いてあるし。やっぱり真面目……?)
(緩いのか真面目なのか、どっちなんだろ。昨日ママに話したときの“無気力そうだけど真面目っぽい”って印象、やっぱり当たってるかも)
(にしても……隙がないなあ。ここまで隙のない人って逆に珍しい。もし“何でもできちゃうタイプ”だったら……私はちょっと苦手かも)
……なんて考えていたところに、明日香が登校してきて「おはよう」と声を掛けてくれた。
「うん、おはよう」
(……やっぱり明日香がいると、なんだか安心する)




